【ハリポタキャラ色々/短編集】

もしも、ドラコがフェレットのままだったら
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いかれ教師のムーディが、突然あらわれて僕に杖を向けてきやがった。

あんまりにも突然のことで、僕は呪文を避けることができなくて
むなしく命中・・・。
まわりにいる連中どもが、僕を見おろして笑っている始末だ。

どうやら僕は小人にされてしまったのだろうか。
奴らが全員、巨人に見えた。








「・・・・・・っ!?」








いや、違う。
体の感覚がどこかおかしい・・・。

僕は小人になったわけでもなく、奴らが巨人になったわけでもなかった。
おそるおそる自分の手足を見ると・・・白くふさふさした毛がはえていて、
横目には長い尻尾までチラつく。

この姿・・・そう、真っ白のフェレットだ。

このいかれ教師は、それだけではなく
フェレットに変身させた僕を、操り人形代わりにしはじめたのだ。
自分の意思なんかないも同然。
何度も何度も宙返りしてしまう体。
目がまわる・・・。

ポッターが「ざまあみろ」と、言わんばかりに大バカ笑い。
この高貴な僕が、なんたる屈辱だろう・・・。
もしも、こんな姿を父上に見られたら・・・・








「ムーディー先生!な____何をなさっているのですか?」









マクゴナガルがやって来て、コイツの注意がそれた隙を狙って
僕はその場から、校舎の中めがけて走り出した。

廊下を、ぞろぞろと歩く連中共の足に踏みつけられないように
ジグザグに走る。
そのたびに、あちこちから声があがる。








「きゃあっ・・・!」

「おい、何だあれ?」

「白いネズミ?」

「いや、あれはフェレットじゃないか?」

「でも、なんでこんな所にフェレット?」








そんな声や視線に、いちいち反応できる暇などない。
とにかく・・・どこか、隠れる場所を探さなくては。
そして、そこで魔法の効き目が切れるのを待とう。

そしたら、アイツらめ・・・覚えていろよ。タダではすませないからな。








「・・・あら?フェレット?誰かのペット・・・?迷子かしら?」

「・・・・・!」










ふと、目の前が何かの影で暗くなったかと思って見上げれば・・・
いちごの模様が僕の視界に飛びこんできた。





______まずい!よりによって、コイツに会ってしまうなんて・・・!


おまけに、見てはいけないものを見てしまったような・・・。










「ダメだよぉー・・・?こんな所、ちょこちょこしてたら・・・
間違って誰かに踏まれたりでもしたら・・・ね。
それに、誰が来るかもわからないし・・・スリザリンの
頭の弱いお坊ちゃまなんかに見つかったら、イタズラされちゃうかもしれないのよ?」







2本の腕が伸びて、僕をそっと抱き上げる。

おい、頭の弱いとはとんだ言い草つけやがって・・・!
おまけに、イタズラされたのは僕の方だ。









「飼い主が誰だかわかるまで、私の部屋にいるといいわ。
・・・うん、そうしよ!」








僕に馴れ馴れしく触れるなんて・・・穢れた血のくせに!

おい!さっさと下ろせ!誰が、グリフィンドールなんかに行くか!
おい!聞いてるのか・・・!?

・・・なんて、僕の訴えなんかが伝わるわけもなく
僕はあっけなくコイツに拉致されて、
グリフィンドールのコイツの部屋へと連れて行かれたのだった。











「・・・何もないけど広さは充分だろうし、くつろいでてね。
餌やお水は、ちゃんと調達してくるから。」









いくつかあるベッドの中のひとつにおろされた。
逃げようかと思ったが、寮に戻ったポッターと鉢合わせになってしまったらややこしい。
ここは、とりあえずおとなしくしてやろうじゃないか。











「お腹すいてる?でも、その前に・・・よく見れば、体が泥だらけじゃない。
部屋が汚れると、ハーマイオニーに怒られちゃうから先に洗わないとね。」








コイツはそう言いながら、
ルームメイトと共同で使ってるであろう、ボロいクローゼットを開くと
脱いだローブをその中にしまった。









「待ってて・・・。私もシャワー浴びる前に着替えるから。」










“も”って、なんだ?”も”って・・・。
コイツ、こっちの状況なんか全くわかっちゃいない。

おまけに、コイツは僕をただのフェレットと思ってるらしく
(いや、普通はそう思うかもしれないが。)
堂々とその場で着替えをはじめやがった。

見てはいけないとわかっていながらも、脳内で悪魔がささやくように
「どうせ、フェレットがコイツの着替えを見たってどうってことないさ。」と、
シュルシュルとネクタイを解く音が、僕を変に誘惑しやがる。

意思とは裏腹に、僕の視線は動いてしまった。









「・・・・・!」









ブラウスのボタンが全て外れ、下着が丸見え状態じゃないか。
バコンッ!と、音をたてた心臓は爆発しそうだった。

そんなことなんか、全く知らないコイツは鼻歌まじりでいやがる。
チクショウ・・・!
そして、スカートの横をもぞもぞと動かした。
ストンとスカートが床に落下して、
さっきのいちご模様が鮮明に視界に飛びこんできやがった。

ベタすぎるかもしれないが、いつ鼻血を噴いてもおかしくない状況の僕は
必死に視線を引きはがした。







「おまたせ!じゃあ、いこっか。」









________おい、待て!離せ・・・!











ジタバタと体を動かしても、フェレットの力で人間に抵抗なんかできるわけがなかった。









「ダーメッ!お風呂だけは嫌がっても連れて行くわよ。
綺麗にしないと・・・!」








女子用のシャワールームに連行されるなり、
鼻血を出すまいとの戦いが再びはじまった。
僕にとってはある意味命がけだ。









「あら、それってもしかしてフェレット・・・?
可愛いー・・・!」







グレンジャー、貧乏赤毛の妹、レイブンクローのルーニー,ラブグッドが
わらわらと僕を囲む。・・・裸で。

見てたまるもんか!僕はのぞき野郎じゃない!
そう思って右を向いても、左を向いても、前を向いても・・・裸、裸、裸。

この状況で、元の姿に戻ってしまうことを考えると・・・ゾッとする。







「多分、誰かのペットが迷子になったようなの・・・。
とりあえず、汚れてるから洗ってあげようかなって。」







強制的に抱かれる僕の頭に、柔らかいものがあたる。
これって・・・もしや・・・コイツの・・・、胸!?

そうだ、服を着たままシャワーなんか浴びられるわけない。
コイツも裸なんだ。

せめて、コイツの裸だけは見ないように
必死に視線を真下にだけ貼りつけていた。

最初から、こうしていればよかったんだ。
シャワーのコックをひねる音がした。その瞬間・・・






「・・・・・・っ!」







体中の筋肉が強く引き伸ばされる感覚に、全身が包まれた。








______マズイッ・・・!








魔法の効き目が、もうじき切れてしまう。








「さあ、観念して綺麗に洗いましょーね?
・・・って、あれ!?」

「・・・・・!?」








シャワーと湯気のなかで、コイツは目を丸くする。
もうバレてしまったのだろうか・・・。












「目の色が青くなってる・・・さっきは確か、赤・・・じゃなかったっけ?」










もはや、万事休すか・・・。
もう・・・こうなったら、いちかばちかだ!

濡れた床に、何度も足を滑らせながら全力疾走した。











「ちょっと・・・!ダメよ!勝手に・・・どこ行くの!?」











出口まであと少し、あと少し・・・あと少し・・・
よし、もうちょっとだ!

出口を通り抜けて、廊下の柱に寄りかかったと同時に
視界が真っ白になり、その直後に体は元に戻った。











「・・・・ったく。」










弾む息を整えながら乱れた髪をなでつけ、大きく息を吐いた。
全く・・・今日は散々な日だ。
寿命が数年分は確実に縮んだはず。









「チクショウ・・・ッ!」








夜は夜で、アイツのとんでもない姿が脳裏に浮かんできやがった。
何度振り払おうとしても、無駄な抵抗にすぎなくて・・・。

とりあえずアイツにだけは、どうしてもバレたくなかった。
あんな姿・・・



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