【ハリポタキャラ色々/短編集】

Remember&Eternity
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「ねぇ、プリンセス。僕たち結婚しようよ!」






フレッドが、いつも以上の冗談を飛ばしたのは
ハロウィンパーティーのとき。

私は、危うく口の中のかぼちゃジュースを吹き、
フレッドにぶちまけてしまいそうになった。







「・・・お断りよ。悪い冗談はよして。」










どうにか、かぼちゃジュースを全て飲みこむ。






「どうしてさ!?僕と君との仲だろ・・・?」

「・・・何ソレ?どんな仲よ?」

「だって・・・僕と君は、恋人同士だろ?ねっ、プリンセス?」

「いったい、いつ?どこで?私たちが恋人同士になったって言うの!?」








ホグワーツに入学してから、これまで
フレッドが私に冗談の延長で「好き」だとか「愛してる」とか、
そんな言葉はさんざん言われた。

だけど、フレッドとの仲は”ただの友達、同級生”にしか思えない。
フレッドにとっての私だって、きっと・・・そうなのだ。


*





そんなフレッドが、ジョージと共に退学を決意してしまい
ホグワーツを去ったのは、アンブリッジがこの学校にやって来てから。







「僕、ジョージと一緒にこの学校を去ることに決めたよ。」






そんな風に、あっけらかんとした(あっけらかんとしているのは、いつものことだけど。)彼に対してなんだか私は、腹立たしいような悔しいような気持ちになってしまい、
涙までにじませてしまって、それがまた余計に悔しくて「バカッ!」と、だけ
言い捨てた。

フレッドとジョージがいない学校は、悲しいくらい静かすぎた。
いたらいたで「うるさいなあ」と、思っていたのに。

私は・・・いつだって、ひねくれていた。素直になれなかった。

悔しいくらいにカッコよくて、優しくて、いつでも笑顔を絶やさない彼が
ひねくれ者の私なんかのそばに、ずっといてくれる。
きっと、甘えていたのだ。

だから・・・フレッドがジョージと共にホグワーツを去ってから
___さびしい。____会いたい。と、思うその気持ちを、ようやく認めることができた。

失って初めてその大切さに気づく無能さにも。


後悔を抱えながら過ごす、最終学年の学校生活。
自分の心の中とは真逆に、その日は校内が騒がしかった。
何ごとかと思い廊下に出て外を眺めると、花火がビュンビュンと上がり
アンブリッジの悲鳴が聞こえる。









_______こんなことするのは、もしかして・・・!








急いで中庭へと出て宙を見上げれば、箒に乗った赤毛がふたり。











「プリンセス・・・!ここにいた!」







フレッドが勢いよく高度を下げ、中庭へと着地する。






「・・・何で?どうして・・・?」

「アンブリッジに没収された箒を取戻しに来たんだ。
ついでだから、ちょっとジョージと一緒にアイツを驚かせに行ったところさ。」







アンブリッジのあの悲鳴からして、”ちょっと”どころじゃない気もするけれど
まあいいや。ざまあみろだ。









「本当・・・いっつも、無茶なことばっかりするんだから。」

「ねぇ、あのさ・・・」

「・・・え?」








まるで、宇宙人が目の前にあらわれたかのように私は驚いた。
あのフレッドが、なぜか口ごもっているのだから。









「あのハロウィンのとき、僕が言ったこと・・・信じてないだろうけど本気だよ?」

「・・・・・・!?」









_____と、言うことは・・・フレッドが!?私を!?








「・・・僕たちさ、イタズラ用品の経営や開発をはじめたんだ。」

「う、うん・・・?」

「だから僕、待ってるよ。あと数ヶ月・・・君がホグワーツを卒業するまで。
君が卒業したら、迎えに行くから結婚しようよ!」

「ででででも、そんなイキナリ・・・結婚だなんて言われても・・・
実感わかないよ。」







フレッドらしい大胆すぎる提案に、ただただ私には
驚くか、心臓をバクバクさせてしまうかの余裕しかなかった。










「じゃあ・・・こうすれば、実感してくれるかい?」

「えっ!?ちょ、ちょっと・・・!」









フレッドが箒を地面に転がして、私へと歩み寄り、抱き寄せ、キスする。










「毎日のように言ってた言葉だったから、新鮮味もないだろうけど・・・
大好きだよ。愛してるんだ。」

「うん・・・ありがとう・・・私も・・・だよ。」






私はフレッドの腕のなかで、ゆっくりと目を閉じると
彼は耳元でささやく。








「僕、双子だから姿も声もジョージと同じで、家族にでさえ間違えられることもあるのに、
ずっと僕を僕として見てくれたのは君だけだよ・・・。
君が僕を僕として見てくれたように、
僕は、君をずっと見てたよ。」



*
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