【ハリポタキャラ色々/短編集】

Snow flake
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低学年ドラコ×ヒロイン
ロミオとジュリエットな魔法使い☆と、
ちょこっと?リンクさせたお話。











「こんなに寒いのに、よくやるわね・・・」









ベッドの上に座っていたハーマイオニーが、
開いていた本から視線を持ち上げて、窓の外をじっと見つめた。









「・・・え?何が・・・?」








ストーブの目の前で膝を抱えながら座っていた私は、立ち上がり
窓のそばへと移動した。

曇りかけている窓を手で軽くこすり、ハーマイオニーの視線の先を追うと
外ではハリー、ロン、フレッド、ジョージが
走りまわったり、雪玉を投げたりとふざけ合っていた。

この部屋にまで、4人の笑い声が響いている。









「全く・・・」と、言いながらも
ハーマイオニーの視線は、ロンだけに集中していた。








雪合戦なんて、マグル界も魔法界も同じことするんだな・・・
と、思っていたらフレッドとジョージと目が合った。
ふたりは「降りて来いよ」と、手招きする。
ロンもそれに続く。
ハリーは、私に手をふって来た。








「来いってさ。・・・ね?私たちも行こうよ!」









私は素早くダウンジャケットを羽織り、マフラーをてきとうに首に巻き、
三つ編みの耳あてがついたお気に入りのニットキャップを目深に被った。

ハーマイオニーは、あまり乗り気ではなさそうな表情。

「楽しそうだよ!雪合戦・・・!」と、説得しながら
手袋をはめて準備万端になった私は、ハーマイオニーの上着を取って
彼女に手渡した。











「もう・・・あなたまで?わかったわ、行くわよ・・・。」






降参したような苦笑いをして、ハーマイオニーは本を閉じて
しぶしぶコートに袖を通した。

ハーマイオニーと私が加わり、6人になると
雪合戦はヒートアップした。
誰も容赦しない。









「やあ、やかましいわめき声が聞こえたから
下品な猿の集団でもいるのかと思ったら・・・グリフィンドールの連中だったのか。
・・・猿以下だな。」









いつものように、嫌味を飛ばして優越感に浸ろうとする
ドラコ,マルフォイだ。
そんなマルフォイのサイドには、今日も腰巾着のふたりが
ゲラゲラと笑っている。








_______うわ、出た・・・最悪。







彼らの登場により、楽しい気分は一気にぶち壊されるのだ。
この上なく腹が立つ。









「僕は君たちと違って・・・「いでぇっ!」








いつものように、マルフォイの
”自分すごいんだぜ。偉いんだぜ自慢大会”がはじまる所だったみたいだけれど
腰巾着のふたりが声を上げた。






「やったな相棒!」「見事命中だな!」







私の後ろにいた、フレッドとジョージがハイタッチした。
おデブの腰巾着ふたりは、ぶつぶつ言いながら
頭についた雪をパンパンと払っている。

そのあいだにも、フレッドとジョージはもう一発お見舞いしたのだ。







「クラッブ、ゴイル何マヌケなことやってるんだ・・・!?」

「マルフォイ・・・アンタたち、邪魔よ!どっか行って!」

「おっと・・・!」









私は、大きく固く丸めた雪玉をマルフォイに向けて投げた。
これが当たったら相当痛いはずだ。

だけど、マルフォイはあのふたりほど、ノロマなおバカじゃなかったらしく
素早くかわした。
このことで、コイツはさらに調子に乗る。








「野蛮な女だな・・・おー、怖い怖い。
これだから穢れた血は嫌なのさ・・・。
どうした・・・?悔しいのか?悔しかったら、僕に一発でも当ててみろよ?
その手に、もうひとつ雪玉があるだろ?
ま、君には無理だろうね・・・。
なんせ僕は、クィディッチの選手だしな・・・」








もうひとつ持っていた雪玉を投げても、またも
マルフォイにあっさりかわされてしまった。






________コイツ・・・!








毎度毎度、マルフォイには腹が立つ。
せせら笑うマルフォイの頭上に、私の視線はぴたりと止まった。









______そうだ・・・!







マルフォイたちが驚くより早く、私は杖をポケットから取り出し
ひと振りした。








「ディセンディウム!」

「うわああぁぁぁ・・・っ!」

「「・・・ドラコ!?」」








そう、マルフォイが立っていたのは
ちょうど木の下だったのだ。

その木には、たっぷりと積もりに積もった雪。
私の呪文で、それらの雪がマルフォイの上へと落下。







「・・・どうした?マルフォイ?
雪だるまみたいになってるけど・・・?」







ハリーがそう言った瞬間、私、ハーマイオニー、ロン、フレッド、ジョージに
「プッ」と、笑いが連鎖した。








「おい・・・!出せ!早く出せ!」










雪の塊から、マルフォイの腕だけが出ていて
おかしな姿だった。
腰巾着ふたりは、おろおろとしながら雪をかき分け
マルフォイを発掘している。
それもまたおかしな光景で私たちは、笑いが止まらない。

お腹がよじれるくらいに笑う。









「貴様・・・この僕にこんなことをして、タダで済むと思うなよ!
・・・行くぞクラッブ、ゴイル!」









頭からつま先まで、雪で真っ白になったマルフォイは
雪で躓きながら走って行った。








「バカマルフォーイ・・・!忘れ物だよー・・・!」









木の下に置き去りにされた帽子を、彼に向かって投げると、
マルフォイはまたも躓きながら帽子に手を伸ばし、
「バカは貴様だ・・・!」と、声を荒らげて去って行った。

私たちの笑いは、なかなかおさまりそうもない。
なかでも、ハリーが一番笑っていた。


当然、これで懲りるマルフォイではなかった。
私たちはいがみ合っていたし、ケンカ騒ぎを起こして罰則を食らったりすることもあった。

マルフォイは、何かといちゃもんをつけて
何故か私を集中的に攻撃していた。

だから私自身、彼が大嫌いで憎くてたまらなかった。
この数年間・・・。

それなのに・・・運命のイタズラとしか言いようがない。
その数年後に、私は彼に恋したのだから。
そして、またその数年後に私は彼と結婚したのだ。

私の恋は、まるで雪のよう_______・・・

静かに、ゆっくりと、深く積もる。
やがて、その雪が溶けて小さな芽が顔を出し、花を咲かす。






***






「・・・どうした?外に何かあるのか?」








ロッキングチェアに座りながら、窓の外を眺めていると
怪訝な表情でドラコが目を細めながら、窓の外を眺めた。
「ずいぶん積もったな」と、言いながら。










「んー・・・、ちょっと、”あのときのこと”思い出したの。」

「あのとき・・・?」








ドラコは腕を組んで眉を寄せ、壁に寄りかかった。








「ホグワーツにいたとき・・・えーと、低学年くらいだったかな?
あなたが私に、雪だるまの刑にされたとき。」

「そ、それは・・・思い出すな。」









居心地悪そうに、ドラコは組んでいた腕を解き
肩をすくめた。







「・・・で、さっきから気になってるんだが
何を編んでるんだ?」

「靴下よ。男の子か女の子かわからないから、黄色。
可愛い色でしょ?」

「きっと・・・女の子だ。」







ついさっき完成したばかりの、小さな小さな片方だけの靴下を持ち上げて
それをじっと眺めながら、ドラコは笑う。









「え?どうしてわかるの・・・?」

「・・・勘だ。」

「あてにならないわね・・・。」









私も笑った。
まるで、目の前にある暖炉とクリスマスツリーのような温かい光が
私たちを包んでいるように感じたのだ。



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