ロミオとジュリエットな魔法使い__Secret love__

【5th Secret love】
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人魚姫は、人間になって
愛する人のそばにいることを選んだ代償として
声を失った。

だけど・・・

恋は叶わなかった。泡になった_____。







5th Secret love







「・・・・!」





遠くから
バタバタと走る足音が、私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
私は、ハッとして振り向いた。
ドラコが背後で舌打ちして、腕に刻まれた闇の印(ダークマーク)
必死に隠そうとしている気配を背中で感じとった。






「・・・サクラー!!!!!!」





この声は・・・、





「・・・ハリー?」




足音は、いち・・・にぃ・・・さん・・・3人分聞こえる。
と、言うことはロンもハーマイオニーも一緒ってことだ。







「お迎えが来たようだな。・・・行け。」

「・・・・!」






ゆっくりと振り向いて、ドラコを見つめた。
痛みを堪えるかのようにほほ笑む青い瞳は揺れていた。






_________嫌よ。そばにいさせて・・・!





声が出てこない。

だけど、私はあきらめる気になれなかった。
ここでドラコと離れてハリーの元へ戻ったら・・・
私たちは、”永遠にさよなら”だと思ったから・・・。

声が出なくても、手も足も動く。
だから、ドラコの腕を掴んで「嫌!」と
首を横にぶんぶんふった。






「・・・行くんだ!」





それでも、私は首をふり続ける。





「行け・・・!これ以上、僕のそばにいるのは・・・危険なんだぞ!」






_________それでも構わない!






「サクラ・・・。」





闇の印が刻まれている、左手が
私の髪を撫でてくれた。

ドラコは、ずるい。ずるすぎる。
辛いこと、苦しいこと・・・みんな、全部・・・一人で背負おうとしてる。

私じゃ、ダメ?
私じゃ、ドラコを支えてあげられない?

ドラコの為だったら、どんなことだってできるはずなのに。







「愛してる・・・。サクラ。」






最後のぬくもりと、優しさが、私に涙させた。




「本当に、心から・・・愛してる。
今も、今までも、これからも・・・ずっと・・・
だから・・・幸せになってくれ。」

「・・・・・っ!」






目を開くと、深い海のように綺麗なドラコの瞳には
涙がたまっていた。
それが、あふれ出してひとすじの涙となる。





_________あなたがいない幸せなんて、存在しない!





泣き叫びたい衝動しかられてるのに、
私は、どうしたことか
一言も声が出せない。

ひゅう・・・ひゅう・・・と、喉の奥から情けない音が出てくるだけ。









サクラ!

「「!?」」






足音が止まった・・・かと思ったら、
ハリーたちが息を切らしながら私たちを睨んでいた。




「マルフォイ!・・・サクラから離れろ!
今、すぐに!




ロンが怒鳴った。





「「・・・・・。」」





ドラコは、すんと鼻を鳴らして舌打ちした。
そして・・・
力をこめて私の手をふりほどくと、風のように走り去って行った。






________ドラコ・・・!





行かないで!
       
       行かないで!




     行かないで!




               行かないで! 
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