【よみきり集】
□【番外編】
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クリスマスイヴ。
ホグワーツの生徒のほとんが、
それぞれの家へと帰るため、
学校は、ガランとしている。
クリスマスシーズンに入ると、
毎年、大広間には大きなクリスマスツリーが、飾られる。
休暇が始まる前、
僕は、フリットウィック先生が飾りつけたツリーを眺めながら、いつもと同じようにサクラの隣で、食事をとっていた。
僕の恋人である彼女の声が、
耳にチラつく。
______ねぇ、ロン。私のチキンも一個あげるわよ。
全く。
サクラはそうやって、
あまり食べないもんだから、
華奢で小さいままなのに。
そんなことを思いながらも、
僕は、
決心
を、して、フォークを置いた。
ハーマイオニーやロンに気づかれないように、サクラのローブの袖をつんと引っ張る。
「ん?どうしたの?」
サクラが、僕の方へと向いた瞬間、シャンプーのようないい香りがした。
チキンの香りと混ざって。
「・・・シッ!」
僕が、人差し指を口にあてると、
______あ、ゴメン・・・!
と、サクラは、
口に手をあてた。
「で、何何?・・・どうしたの?」
ヒソヒソと声を潜め、
サクラは、僕に、
ぴたっとくっつき、耳を傾けた。
「あのさ・・・、」
ハーマイオニーが一瞬、
僕らの方を見たが、
何も見ず、何もなかったかのように、目を逸らした。
彼女なりの、気づかいだろう。
再び、ロンとデザートの取り合いを始めた。
「サクラは、休暇、日本に帰るの・・・?」
「え・・・、」
うーん・・・
と、眉間にシワを寄せ、
唇をアヒルのようにつき出し、
考え込んでいる。
駄目でもともとだ!
言うだけ言ってしまおう______
今年のクリスマスは、
二人で過ごしたいと。