【よみきり集】
□ミラクルヒーロー
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マグル界にいた時に
「白雪姫」と言う絵本を読んだ事がある。
唇は赤い薔薇。
髪は黒々と輝き、
肌は雪の様な白さ。
あの日、
あの時、
君を一目見た瞬間・・・、僕は思ったんだ。
彼女は・・・・・
「白雪姫」みたいだと。
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「サクラ・ジングウジ!」
組み分け帽子を片手にマクゴナガル先生がその名前を呼ぶ。
一風変わった名前だ。
サクラ・ジングウジはおっかなびっくりに椅子に腰かけ耳の下まですっぽりと組分け帽子を被せられた。
「よしっ!君はグリフィンドール!!!!!」
組み分け帽子の即答にグリフィンドールからの歓声が上がる。
サクラ・ジングウジは椅子から立ち上がると、漆黒の髪をなびかせて小走りでやって来た。
空席を探しているのだろうか・・・・?
辺りをキョロキョロとしている。
僕は一瞬、彼女に声をかけようか迷った。
『隣・・・空いてるよ。』
こう言いたかった。
だけど、
嫌な顔をされたらどうしようか・・・・・・。
「あの・・・・、隣・・・良いかな?」
僕の隣を指さして、ためらいがちに彼女の方が先に声をかけて来た。
駄目な訳がない。
「勿論だよ。座って?」
「・・・ありがとう!」
彼女は、チョコレート色の瞳を細めて優しく僕に微笑んでくれた。
先程の態度がでかかった、青白い顔の
ドラコ・マルフォイとは大違いだ。
「おんなじ寮ね。私は・・・サクラよ。サクラ・ジングウジ。宜しくね?」
再び僕に微笑んでくれた。
優しい笑顔で・・・・。
「あ・・・っ。僕はハリー・ポッターって言うんだ!こちらこそ宜しく。」
「ポッター君・・・?」
「呼び捨てで良いさ!ハリーで良いよ。」
「本当?じゃあ、私の事もサクラって呼んでね。」
「うんっ!サクラだね。」
僕も彼女の名前を呼んで微笑み返した。
初めて・・・人に優しく微笑みかけられたかもしれない。
嬉しそうに
優しそうに
とびきりの笑顔で
僕に微笑んでくれた。
これがきっかけで僕達は「友達」になったのだ。