【よみきり集】

1,2,3!
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_____受け取って下さい。


私からのささやかなプレゼントを。



_____受け取って下さい。



私の気持ちを。



さぁ、瞳を閉じて・・・。



「ワン,ツー,スリー」の呪文で始まるから・・・。











†‡1,2,3!‡†







「「ハリー!」」





ハーマイオニー、ロンと三人並んでバタービールを飲んでいたら
フレッドとジョージが僕の肩を叩いた。

目の前には、その仲間達からのバースデープレゼントの山。






「何?」





グラスを置いて振り返ると、フレッドとジョージは「あれ、あれ。」と
窓を指さす。

ヘドウィクが、手紙をくわえて僕を見つめていた。








「あなたへの手紙ね。」





ハーマイオニーが悪戯っぽく笑う。






_________もしかして・・・!





僕の心拍数が一気に上がった。
かすかな期待を胸に立ち上がり、ヘドウィクの頭を撫でてやり
手紙を受け取ると・・・


Dear☆Harry ,Potter

・・・の、見慣れた丸文字。






「・・・・・・!」




封筒をひっくり返して、差出人を確認するまでもなかった。




_______サクラだ・・・!






心臓がドキドキしすぎてるせいか、その手紙を持つ手まで震えてしまっている。
僕は、中に入っていたカードをゆっくりと引っ張り出して・・・開いた。








_________________________

ハリーへ

お誕生日おめでとう!
遠いニホンから、あなたの誕生日をお祝いさせて下さい。
本当は、プレゼントも渡したかったんだけど
何をあげたらいいのか悩んでるうちに、ハリーの誕生日・・・。
だから・・・、
カードだけなんだけどごめんね。


ハリーにとって、素敵な一年の始まりとなりますよーに!!!

ではでは、新学期にホグワーツでね❤


サクラより


__________________________







_________サクラ・・・。





僕は、何度も何度もサクラからのバースデーカードを読み返し
愛しい筆跡を指でなぞり、
自分の鼓動を落ち着かせるかのように、ヘドウィクを撫でた。
ヘドウィクは、そんな僕の指先を嘴で甘噛みする。
(くすぐったい。)








「ホグワーツで・・・か。」




新学期まで、まだまだだ・・・。

と、言うことはつまり・・・
サクラに会えるのはまだ先と言うことだ。

・・・なんて、個人的な感情に浸っていると
ロンとハーマイオニーと目が合った。
二人は、悪戯をしかけた子どものように
目を合わせて笑い合っている。





「・・・何だよ?」





カードを封筒にしまい直し、再び
二人のそばに腰をおろす。





「ハリーったら、嬉しそうな顔しちゃって・・・。」





と、クスクス笑うハーマイオニー。




「ハリー、君・・・鼻の下伸びてる。」




と、ロン。




「嘘・・・っ!?」

「ああ、嘘。」





僕は、ロンを小突いてやった。
ケラケラ笑うロンの赤毛が揺れた。





「・・・サクラも来ればいいのにって
ママも言ってたよ。」

「・・・・・。」




それもそうだ。
僕だって、彼女に会いたい。



「そうね・・・。でも、ニホンからここまでは
さすがに遠すぎるわね。」



ハーマイオニーは、そう言って立ち上がり
ペパーミント味の歯磨き粉に手をのばした。




「・・・・・。」





ハーマイオニーの言う通りだ。
だけど、僕はサクラに会いたくてたまらない。

ソプラノまじりのアルトが、僕の名前を呼ぶのが聞きたい。

あの笑顔を見たい。

あのビー玉のような瞳を見たい。

あの甘い香りを感じたい。

くるくると代わる表情や仕草を隣で眺めたい。






・・・そう。それが、”ただの友達”でもいいから______。
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