夢小説 SD


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もう、恋をすることに懲りたはずだった。

琴美はベッドに仰向けになったまま、目を閉じた。
(お腹の上にダイナが乗っている。)
アメリカに住んでいたとき、恋人がいた。
マイケル,スミスという名の。
ダイナのつややかな黒い毛を撫でながら、別れた恋人を思い出す。
マイケルを愛していた。
マイケルも琴美を愛していたはずだった。




______結局は、私の病気のせい・・・か





たびたび発作を起こす琴美を、
マイケルは労わってはくれなかった。
ふたりが恋人同士になったばかりのとき以降だろうか。




________いつからだったんだろ




発作を起こすと、マイケルはまたかよ≠ニ、でも言いたいような
うんざりとした顔をしていた。
普通に愛し合う恋人同士なら、キスをするだけじゃなくセックスだってするだろう。
心臓病患者にとって、セックスをするということは、
当たり前だが心臓に負担のかかること。
マイケルは恋人とセックスできないことにもうんざりしていたに違いない。
そんな彼は、次第に女の影をチラつかせるようになった。




______ジェニーって名前だっけ・・・・・





マイケルと同じような金髪に、青い目をしていた。
カールした金髪の髪をふわふわとなびかせていた。

ある日、課題を片付けようと自室の机に向かったものの、
教科書一式を学校のロッカーに閉まったままだったことに気づいた。
外は薄暗くなり始めていたが校内には入れた。
廊下は薄暗くなっていたし、生徒も誰もいなくて、
校内は不気味なほどシンと静まり返っていた。
急いで自分のロッカーから教科書とノートを取り出して抱えた。
その瞬間、誰もいないはずなのに
声が聞こえたのだ。
その声は、どうやらすぐそばの教室から。
幽霊だったらどうしよう。
抱えた教科書とノートをギュッと胸に抱きしめながら、
怯えた。


_______幽霊の方がマシだったかも




琴美はそのまま帰りたかったのだが、
その教室を通らないと外には出られない。
教科書とノートを抱える手に力をこめて歩き出す。
声が聞こえてくる教室におそるおそる目を向けた。

その教室にマイケルとジェニーがいたのだ。
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