夢小説 SD
□5
1ページ/13ページ
流川とふたりで撮ったプリクラはプリクラ手帳には貼らず、
スケジュール帳のポケットに閉まった。
クマのぬいぐるみは今日もダイナと一緒にベッドの上にいる。
陵南との練習試合は、
とうとう明日に迫っていた。
________チクショウ・・・!
琴美と放課後デートをして以来、
ふたりは一切口を聞いていない。
教室でも。部活でも。
_______なんで俺、避けられてるんだ
同じクラスで隣の席にも関わらず、琴美の態度はいつもと違い
どこかよそよそしく、決して流川と目を合わそうとはしないのだ。
さよなら!
そのひとことが、あのとき
自分に向けられた最後の言葉のようだった。
______俺の気持ち、バレたのか?
いや、そんなはずはない。
それならそれで、何かしらのアクションがあるはずだ。
きっと。
もうじきホームルームだというのに
隣の席である琴美は、まだ登校して来る気配がない。
_________休み?
明日は陵南との練習試合。
だとしたら、明日はちゃんと来るだろうか。
ホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴り、
それと同時に琴美はやって来た。
「!?」
走ってきたに違いない。
息が少しばかり弾んでいる。
遅刻を逃れられたことから来る安堵ため息をつき、
琴美は腰を下ろした。
「超遅刻ギリギリ・・・」
そう言う流川君だって、人のこと言えないんじゃない?
朝から自転車の居眠り運転してるじゃない!
普段なら、こんな反応が返ってくるはずだった。
「・・・うん・・・」
_____やっぱりな
返事は返ってきたものの、目を合わせようともしない。
黙ったまま教科書やノートを机に押しこみ、
鞄を机の横にかける。
流川の胸の奥にはチクリと痛むものがあった。
________まぁ、とりあえず・・・、
今は明日の練習試合のことだけ考えよう。
練習試合だからって油断なんかできない。
陵南を倒し、湘北の強さを思い知らせてやるのだ!