夢小説 SD
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ベッドのそばのサイドテーブルにある目覚まし時計が止まっている。
電池が切れてしまったらしい。
「え・・・?嘘!?今、何時?」
いっきに現実に引き戻され、今、
自分が置かれている状況を理解すると布団を払いのけ、
携帯を開いた。
「げーっ!もうこんな時間ー!」
叫びにもちかい声で、ぬくぬくと眠っていたダイナも目をまんまるに見開いた。
「とにかく・・・急がないと!遅刻する・・・っ!」
急いでパジャマを脱ぎ捨て
ハンガーに吊るしてある制服に腕を通し、
寝癖で乱れた髪にブラシをあてる。
「あー・・・っ!もう・・・、今日は陵南との練習試合なのに・・・!何でこんな日に寝坊するかなぁー・・・」
鏡に向かってのんびりと髪を結い上げる暇なんてない。
歯を磨き、顔を洗い終えると、鞄を引っつかんだ。
「じゃあダイナ、行ってきまーす!
ごはんとミルクは下に置いてあるからね!」
あっと言う間にバタバタと飼い主が家から飛び出して行くと、
一瞬の嵐が去ったように静けさが戻る。ダイナは再び眠りに落ちた。
こういうときに限ってバスはなかなか来ないもの。
琴美は時刻表と腕時計を交互に睨んだ。
「あちゃー・・・、ダメだ。次のバスだと集合時間に間に合わないや・・・」
宙を仰ぐ。一分一秒すら無駄にはできない。
_______よし!こうなったら・・・
鞄をしっかりと持ち直して駆けだした。
駅まではそう遠くない。走れば間に合うはず。
走って、走って、見慣れたコンビニが見えてきた。
ここまで来れば駅まであと少し。
_______やだ!嘘・・・!?
突然、
胸が締めつけられるような苦しみが襲いかかる。
________こんなときに発作なんて
コンクリートの地面に転倒してしまった。
そのせいで膝をすりむき、ヒリヒリした痛みが走る。
_________どうしよう
_________どうしよう
________急がないと、間に合わないのに・・・
締めつけられる胸の苦しさと痛みに耐えながら、
再び立ち上がってはみたものの
再び走り出すことができない。
__________そんな・・・
「藍沢!」
「!?」
キッと、勢いよく止まるブレーキの音と共に
自分の名前を呼ばれ、
琴美は胸を抑えつけながら振り向いた。
「・・・流川君!?」
「大丈夫か!?発作か・・・!?」
流川はその場に乱暴な手つきで自転車を倒すと、
琴美の手を取った。
「・・・大丈夫。こんなの、しょっちゅうだから・・・・っ。だから、流川君は早く行って。もうすぐ集合時間・・・」
「どあほぅ・・・!」
流川は地面に倒れた自転車を起こす。
「膝のケガは少し我慢しろ。とりあえず乗れ!」
「でっ、でも・・・」
「さっさと乗れ!おめーを置いてけるわけねーだろ」
_______やめてよ。そんな言い方。
そんな優しさ。期待してしまう。
でも、背に腹はかえられない。
琴美も自転車に乗り、
流川の背中にしがみついた。
「大丈夫だ。このまま行けば間に合う」
「ごめんね・・・こんなときに・・・。」
「気にすんな。どあほぅ」