夢小説 SD


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救急車のサイレン音が琴美の耳に響いていたが、それからの記憶はない。





______琴美・・・・!


______琴美!





遠くから、囁き声が聞こえる。
琴美が誰よりも、何よりも、愛しいと感じている流川の声。
琴美は体に違和感を感じ、重い瞼をゆっくりと開いた。
瞼を開くと目の前に真っ白な天井と、
つながれている点滴が目に入った。



_______ああ・・・・まただ


救急車で病院に運ばれたのは、
これで二度目。




「琴美・・・・!」



真っ白なベッドの上に横たわる琴美に、
流川が覆いかぶさった。



「・・・・る・・・・かわ君?」




______夢だと思ったけど・・・・、夢じゃない。



流川は琴美が眠るベッドのそばで
ずっと、名前を呼んでいたのだ。



「体はどうだ・・・・!? 心臓は!?」




流川の体のあちこちに巻かれている包帯が
琴美には痛々しく見えた。



「ん・・・・もう平気・・・・。
それより、流川君の方こそ・・・・
こんな大怪我して・・・・」



_______ああ、情けない・・・・


みずから不良グループに勝手につっかかり、
挙句の果てには発作を起こして倒れるなんて。




「どあほぅ・・・・!」




_______流川君、きっと、あきれてるんだろうな。




琴美がそう思った瞬間、
流川は琴美を抱き寄せた。



「・・・・流川君?」

「俺のことなんかより、自分の心配しやがれ!」




抱きしめる流川の腕に力がこもる。



「私は全然平気・・・・!
流川君も無事で本当に良かっ・・・・」

「おめー・・・・」

「!?」



琴美の言葉を、流川は遮った。




「琴美、ずっと目、覚まさねーし
もしかしたら・・・・
死んじまうのかと思った・・・・!」




________死ぬ!?私が・・・・?




嫌だぁー・・・・大袈裟!
そう笑い飛ばしてしまおうと思った。
だけど、流川の顔を見た途端
何も言葉が出てこない。




________流川君!?



流川の切れ長な目からは涙が溢れ、
頬を伝い、真っ白なシーツにぽつんと落ちた。
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