夢小説 SD
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「でも・・・・よかった」
あたたかい流川の腕の中。
「うん・・・・・・」
琴美は指先で流川の涙を拭った。
熱い一粒の涙。
「・・・・もう俺、おめーのこと
絶対離したくねえ! 守るから・・・・!琴美のこと、ぜってー守ってみせる!
だから・・・・俺のそばにいろよ」
琴美は何も言えなかった。
何も言わず、流川のキスを受けた。
この前よりもどこか少し乱暴で、熱いキス。
「俺のこと、好きだっつーんなら・・・・
俺から離れんなよ」
ふたりは互いの無事を喜ぶかのように、
ひたすら抱き合っていた。
医者や看護師がやって来るまでずっと。
そんなふたりの光景を、扉の向こうから晴子は何も言わず、
じっと見つめていた。
「あれ・・・・?」
知らせを受け、ジャージ姿のまま
仙道も病院に駆けつけていた。
晴子の隣に立ち、ぼりぼりと頭をかく。
「仙道さん? 今は、ふたりだけにしてあげましょ」
「しょーがない・・・・俺の出る幕はナシ。か・・・・」
* * * *
流川を含む負傷したバスケ部員たちは、
その日に退院し
翌日からは平常通り登校したものの、
琴美ばかりはそうもいかず、
二・三日の入院に、更に二・三日の自宅休養を医者から命じられたのだった。
「退院できても、ベッドの中でじっとしてるなんて退屈よね」
ね?
と、言っても、
ダイナは布団の上に丸まり
気持ちよさそうにゴロゴロとのどを鳴らしている。
サイドテーブルには読み終えた本が数冊、
積み上げられている。
「あら、もうこんな時間・・・・」
その本のそばに置いてある時計を見やった。
「授業も終わって、
今頃みんな部活なんだろうなぁー・・・・」
更に、もう一冊。
たった今読み終えた本を乗せる。
_______本当に退屈・・・・
夜まで一眠りできるかと思い、
琴美は寝転がると布団を持ち上げた。
_________ダメだ。
こういうときに限って目は冴えてしまっている。
しばらくぼうっと、天井を見つめていたが
一階の玄関からインターホンが響いて来た。
________誰だろう・・・・?
もそもそとベッドから降り、
ピンクのネグリジェの上からラベンダー色のカーディガンを羽織った。