□貴方の為に
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私の心と身体は、この國と…
「聖上、貴方の物です」

さらりと、そして突然告げられた言葉にハクオロは絶句した。
まさかここまでベナウィの忠誠心が強いとは、思わなかったぞ…じゃなくて。
「あのな、ベナウィ…」
「聖上と國の為ならば、命も投げ出す覚悟です」
伏し目がちに言われるとハクオロもドキリとするのか、ベナウィから目を逸らす。
妙に色気があるから見ていられないのである。
「いやいやいや、さすがに命は…」
「聖上の御心に従うのが、私の務め」
はー、今日のベナウィはどうしたと言うんだ、いきなり。
「ですから、聖上」
「はい?」
「ちゃんと、執務を行ってください」
…あのなベナウィ
「何故そうなる?!」
「目の前の物は今日中に仕上げいただきたいのです、が、いまだに終わってないではないですか」
「さっきまでの話とは全然関係ないではないか!」
「いえ、関係あります」
そう言うと、ベナウィは真剣な面持ちで、
「一つ、聖上の願いを叶えましょう、私の出来る範囲で」
と、やる気を促す様なことを言い出した。
「本当か?」
「ええ、それを片付けられたら、ですが」
釘を刺しておくのも忘れないのは、流石ベナウィと言うところか。
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