Novel

□十年後。
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ぼくは鼻歌まじりに花に水をやっていた。今、ぼくがいるのは砦、嫌、家だ。つまり、創也の家だ。

「…内人君。まだ原稿は出来ていないのかい?」

創也がぼくに尋ねて来た。彼は竜王 創也。このアパートに住んでいる。あれからもう、十年もたった。廃墟だったアパートは新しくなり素敵なアパートになった。

「…まだだよ。あと少し」

「何時も愚痴を言われるのはぼくなんだから…早くしてくれたまえ」

全く。煩い奴だ。ぼくは溜め息を吐いた。創也がぼくを睨む。

「君は全く変わらないね。…そういえば、さっきから気になっていたんだけど。インタビューの時間は大丈夫なのかい?」

「うわ!大変だ!!行ってきます!!」

ぼくは慌てて砦から出た。栗井 栄太にあってからもう十年も立つのか…
と呟きつつ。
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