Novel

□ほかろん
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…終わった。
仕事を始めて実に5時間は経過している。やっと満足な音を決められた。
さて、そろそろ休もうかな。
リビングに降りて来ると、神宮寺さんが居た。俺が最後に見たときと同じところに居る。
…もしかして、待ってたとか?
流石に疲れたのだろう。穏やかに寝息を立てている。
それにしても、ソファで寝られるのは困る。風邪引くかもしれないし。リビングは朝死ぬほど冷えるのだ。布団を掛けても、絶対寒い。だからと云って彼の部屋まで抱き上げて連れて行くなんて無理だ。力も勇気も足りない。
どうしたものかと神宮寺さんの顔を見た。そのあどけない寝顔は何と言うか、可愛い。
ソファの側に跪いて、彼の顔を覗き込んだ。
長い睫毛。すっと通った鼻筋。彼の整った顔も、眠ってしまえば可愛いものだ。
「こんな可愛い顔して…」
俺はこんなに困ってるのに。呆れて視線を落とすと、彼が何かを枕にしていることに気付いた。
…何だろう?
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