Novel
□栗井 栄太達のお話。
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☆ウイロウ編☆
「…ジュリアス。」
「何?ウイロウ」
「…嫌。」
ぼくは紅茶を飲んだ。
別にジュリアスが嫌いな訳ではない。…つまり、話す話題がないという訳だ。
「…困ったな…」
と呟くとジュリアスがぼくに尋ねた。
「…ねぇ、ウイロウ?」
「…ん?」
「…誰か好きな人がいるの?神宮寺さんとか。」
「…嫌、いないけど。」
ぼくは首を横に降った。
…ぼくに恋人はいない。
絶対に…。
ぼくは立ち上がり丁寧に椅子をしまうと、ソファーのあるリビングに行った。
…ソファーで誰かが小さな寝息を立てて寝ている。
蝋燭を少し上げるとソファーに寝ているのは神宮寺さんだった。
…こんな所で良く寝れるな。
きっとジュリアスが風邪を引かない様に、と、布団を掛けたのであろう。
…こう見るとなんか…可愛いな。
と思ってしまった。
蝋燭を机に置くとダイニングの方を向いた。
ダイニングではジュリアスが椅子に座って温かい牛乳を飲んでいるのが蝋燭に照らされ、良く分かった。
「…じゃあ、ぼく。寝るから。…お休み。」
ジュリアスは欠伸をすると去ってしまった。
残されたのはぼくと神宮寺さんだ。
「…風邪、引くなよ。」
と言ってぼくも去った。
次の日、神宮寺さんが風邪を引いたのは言うまでもない。
続く。