Novel

□僕の姫君
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「何?内人君。」
呼びかけられて、王子様役の創也が振り向く。白雪姫の役の僕を馬鹿にしたように笑いながら。
「似合ってるじゃないか。」
「うるさい。創也。」
創也はというと王子様の役を完全にこなしていた。クラスの投票で文句なく一位をとっただけある(クラスの女子は全員が入れたようだ)。
「何ぼけっとしてるの内藤君!主役なんだからね!」
「あ..ごめん。」
監督を務める女子に一喝される。
「よし。じゃあ今日は此処までよ。明日は本番なんだから各自練習しておくこと。解散!」
その声でクラスメートがやがやと解散して行く。(女子はいちいち創也の近くを通っている気がするが、考えすぎだろうか?)


「創也。」
今日は塾があるから砦には行かない。創也と一緒に帰り道を歩いていた。
「何だい?」
「明日、凄いゆううつだよ。」
「憂鬱って漢字で書けるかい?」
とんちんかんな創也は無視して、続ける。
「何で僕が白雪姫なんだろ..。小人なら一人位抜けても問題ないからって..で、他の小人よりは僕が痩せてたってだけで..」
あ"ーっと頭を掻きむしる。
「何言ってるんだい内人君。」
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