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□Kaleidoscope.
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ロックオンに過去に女がいたことは、刹那は特に何も気にしていなかった。
言わなくても分かってしまう。
自分は彼が思っている程鈍感じゃない。

ロックオンはもう24だし、失恋の一つや二つ、当たり前だと思っている。
あの容姿にあの性格なら、女なんか誰でもひょいひょい付いていくだろう。
遊びでも本気でも。
深く追及する方が悪いのだ。

過去は過去。
ロックオンがその女に何を囁いてきたか、どんな愛撫をしてきたかを想像したところで、自分に何も利益はない。
考えるだけ無駄なのだ。
刹那は深く考えないようにする。

――――今の恋人は自分だ

ロックオンに愛されていることを、刹那は知っているからだ。
だから絶対に詮索したりしない。

とりあえず今は彼に、彼のセックスに集中することにする。




「………ん…」

ロックオンは刹那に覆い被さると、その唇にゆっくりとキスを落とす。
両肘を刹那の頭の横について、最初に刹那の首を固定してしまう。

もう何度も経験している、ロックオンのキスの仕方。
自分の額を刹那の額にくっ付けさせ、高い鼻が互いにぶつからないようにする。

次に唇。

舌を少しずつ出しながら、刹那の唇をぴちゃぴちゃと舐めてくる。啄むような甘いキス。
ロックオンの舌が刹那の唇の割れ目をとらえると、彼はすぐに自分の舌を割り込ませる。
ざらざらした彼の熱い舌。
うねうねとどんな動きをするか分からないので、それが動く度に新たな刺激となって刹那の情欲を掻き立てる。

彼の舌が自分のものをとらえると、もう刹那には逃げ場がなくなる。
ロックオンの長い前髪を全身に浴びながら、貪るような長いキスが始まる。

「……ん…ふぅっ…」

絡みつく舌と唾液。
唇に噛みついてくる彼のキスはたまらない。
ただ舌を入れるだけではない。
顔を動かしながら、より深く繋がろうとしてくるのだ。
息もできないくらいの激しい口づけ。
まだ自分は16だというのに、構わず大人のやり方で挑んでくる。

「……あっ…はっ、ロック…ッ…」

ロックオンは片腕を刹那の背中に割り込ませると、背骨の感触を確かめながら刹那を抱き締める。
身体全体を使って全ての意識を唇に集中させ、激しく刹那を抱くのだ。
巧みなやり方に刹那はそれだけで腰が上下に揺れる。
ひたっ、と下半身にロックオンのそれが当たると、刹那は唇から大きく喘ぎを漏らした。

もっともっとお前が欲しい。

刹那はロックオンの首に手を回し、自分の頭を少し持ち上げて、更に彼を求めようとする。
くちゃくちゃと唾液が絡む音がすると、刹那の顎につーと透明な液体が流れていった。
刹那は彼の後頭部を自分の顔に強く押し付ける。
今度は自分から彼の舌を絡め取ると、口を閉じたり開いたりしながら、まるで吸い取るように舌のうねりを自分のペースに持っていった。

「…………んっ」

ロックオンからも吐息が漏れる。
刹那の積極的なその行為に少し驚いたのだろう。
抱き締める力を少し緩めては、一層強く刹那の腰をまさぐった。

――――キスが上手くなってる…

ロックオンはそう思った。

初めて抱いたあの時から、ぎこちない刹那の動きは確実に積極性を増している。
本能と欲望とが混ざり合い理性を後退させ、情熱を呼び覚ますという大人のセックスの段階を覚え始めたのだ。
子供の緩いセックスとは全然違う。

繋がって子孫を残すための――自分たちでは子供は作れないが―――ロックオンは刹那にセックスの仕方を身体で覚えさせ、そして女以上に開発していったのだ。



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