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□Kaleidoscope.
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「ロックオン」

「刹那?」


驚きを隠せないロックオン。
今度は刹那が上になり、ロックオンを組み敷いているのだ。
立場逆転という急展開に、ロックオンは目を見開き、目の前の刹那を驚きの表情で見つめている。

――――綺麗な…碧の、瞳…

ロックオンの顔にそっと触れる。
目にはまるで宝石のような美しい碧が輝いている。
自分の赤茶色の目とは全然違う。
刹那は目を細めた。


「ロックオン、俺のことは、好きか?」

「……え?」

予想外の問い掛けに、ロックオンは驚いて首を傾げる。
刹那は真剣な表情で彼を見つめ続ける。

「…ロックは、俺のことだけを好きなのか?」

更に彼に聞く。
サイドランプに照らされた彼の堀の深い顔は、まるで美しい彫刻のようでもあり、一種の芸術性を感じられる。
二人はしばらく無言となり、時が止まったように感じられた。

「………刹、」

「…俺だけを見ろ」

――――愛しているから

「俺だけを見て」

――――ずっと俺だけを愛して欲しい


「刹那………」


刹那はそのままの姿勢から、自分の唇をロックオンのそれに持っていく。
くちゅ、と繋がると優しく激しいキスが始まる。

ロックオンはこの時ばかりは自分で求めなかった。
刹那に全てを委ねていた。
刹那もそれに気づき、自分にできる精一杯のやり方で口づけを交わしていく。
ロックオンがしてくれるように、舌を絡め、歯列をなぞり、唾液を交換する。
クチャクチャと音が出始めると、刹那はロックオンの顎を掴んで更に深く口付けた。

「……ん、刹那」

少し息苦しくなったのか、ロックオンは手で刹那の胸を叩き、彼をようやく唇から離させる。
やはり長い銀糸が、弧を描いたまま二人の唇と唇を繋いでいた。


「愛しているんだ」

「……!」

刹那は虚ろな、しかしどこか悲しそうな目でロックオンを見下ろす。
寂しそうな表情は、彼がいかに真剣であるかを物語っていた。

「…愛してる、ロックオン」

「刹那…」

「だから俺だけを見て欲しい。他の奴なんかに優しくするな。お前は俺だけを見ていればいいんだ」

「………」


――――あぁ、何で自分はこんなにわがままなのだろう…

ロックオンは誰にでも優しい。
こんなことを言っても困らせるだけなのに…
なぜ自分は、いつも彼を追い込むようなことばかりするのだろう。

――――本気で愛しているから

「もう止まらないんだ…」


「刹那……」



その時刹那は腕を伸ばしてきたロックオンに後頭部を掴まれ、無理やり強く口付けられる。
「………!」

驚いた刹那は目を見開き、そのままずっとそうしていた。


「…馬鹿。何言ってんだよ、お前は」

「………え」

刹那は意外な言葉にその場から動けない。

「愛してるに決まってんだろうが、今更、この馬鹿」

「………!」

罵倒しつつも、愛しさが感じられるその言葉。
彼の声で甘く低く囁かれると、もう落ちない者はいない。


「愛してる。たった一人、お前だけが好きだ、刹那」

「本当に?」

―――――何もかも捨てて


「お前だけが俺の側にいてくれればいい。お前だけが俺を見ていてくれればいい。だからどこにも行くな。好きだ、お前が」

「本当に本当に、俺だけなんだな?」

―――――俺だけを愛して…


「今日は本当に可愛いな、刹那」

「…………」





――――――愛してる



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