ロク刹 シリーズ連載
□Responsibility ,for U ◇
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「よく戻ったわ、お帰り。刹那」
スメラギは笑顔で、宇宙に戻った刹那を迎えた。ロックオンが体調を崩した為、非番の刹那が急遽呼び戻されたのだった。
「………………」
刹那はスメラギを見ても声を掛けることなく横を通りすぎた。別に怒っているというわけではなく、これはいつも通りの反応であった。
「…記憶がなくなっているとは思えないけど。私に対する態度は全く変わってないし」
スメラギはふぅっと息を吐くと、去っていく刹那の後ろ姿を見つめていた。彼は特に変わった様子はなく、地上でも何もなかったのだろう。もちろん、ロックオンの具合がどうだとかも聞いてこなかった。
…記憶消去はどんな罰よりも残酷なものだ。かけがえのない関係を消滅させる…
ロックオン自身がそれを証明している。
「プランの大幅な修正が必要ね…」
しばらくするとスメラギは、自身も次のミッションの為に仕事をしなければと、背伸びをして自室に向かった。
お茶にするには、まだ早い時間だった。