謙也連載

□また会ったね
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謎の駿足少女と出会うてから数日経った。

が、校内で彼女を見かける事は一度たりともなかった。同じ学校なんは確かなのに、なんでやろ。でもってこんなにまた会いたいて思うんもなんでやろな…。



ぼんやり考えながら委員会を終え部活に行くと、なんや部室前が騒がしかった。


一体何事や。白石らしき人物を中心にして出来とる輪の間からひょいと顔を覗かせる。と、俺に気づいた小春とユウジ、それから財前がこちらを向いた。



「おう謙也」

「遅かったやないの」

「委員会長引いてしもてな。で、なんやこの騒ぎは?」

「新聞部の取材らしいっすわ」

「取材?」



財前の言葉に中心を見れば、なるほど、白石(と横で跳ねとる金ちゃん)が“新聞部”の腕章を付けた女子にインタビューを受けていた。



…あれ、あの姿、どこかで見たような。


見えそうで見えへんその顔を、じっと目をこらして捉える。


と、不意にメモを取って俯いていた彼女が顔を上げた




「あ、」




瞬間、まるで時が止まったようなそんな感覚に襲われた。


間違いない、あの子や。

ずっと探しとった、流れ星みたいに駆け抜けて行った、あの女の子。




「!」



見つけた事に唖然としてそのまま見つめていると、ふと目が合うた。気のせいとちゃう、今のは確かに合うたで…!

それだけの事なのに何故か無性に嬉しくなって、俺はにやける口元を必死に手で隠す。




「蔵リンのインタビュー終わったら練習風景の写真撮るらしいで…って謙也くん、どないしたん?」

「な、な、な、なんでもあらへん!」




「あの、」



「っ!?」




急に小春たちとは違う声に話しかけられ一瞬呼吸が止まった。



この声ってもしかすると、もしか、すると。



聞き覚えのある高い声に、どくんどくんと鼓動が速くなる。嗚呼なんや顔上げられへんし緊張するしどないしよう。落ち着け、落ち着くんや浪速のスピードスター。あ、今スピード関係ないやん。






「このあいだは、ありがとうございました」





一呼吸置いてからゆっくりと声の主を見ると、例の彼女が俺の目の前にいた。









またったね

(なんで俺こない緊張しとんのや)




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