TENNIS2

□嫌い嫌い嫌い
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最悪、だ。



「んッ…んうっ、っは、あ」
「…はッ…」
「ッあと、べ…も、やめ…っ」


「…まだだ、まだ、足りねえ」



なんで私は大嫌いな跡部に壁に押し付けられてるんだ。なんで私は大嫌いな跡部にキスされてるんだ。最悪だ。15年生きてきた中で、最低最悪の出来事だ。

私はただ生徒会長である跡部に「仕事がある」と呼ばれたから来ただけで、こんなことされるなんて聞いていない。




「…はっ、はあっ」


ちゅ、と音がして離れた唇同士を銀糸が繋ぐ。酸素が足りない。呼吸が苦しい。
最悪、最悪、最悪。



「あと、べ」

「黙ってろよ」



なんなの、欲求不満なの?

ぎっと睨んでも天下の俺様跡部様に効果があるはずもなく、また唇を押し付けられる。ちょっと口が開いただけで舌まで突っ込むとかどういう神経してるの。でもって舌を噛むとかすれば逃げられるのに逃げようとしない私もなんなの。



跡部の唇が角度を変え何度も私のそれに重なる。跡部の舌が、生き物みたいに動いて口内を荒らしまわす。溢れた唾液が、つ、と首筋を伝う。

ああ気持ち悪い、気持ち、悪い。




「っ、」


息苦しさにどんと力の入らない拳で跡部の胸を叩くと、ようやっと唇も体も離れた。




「ッ、はあ…っ、なん、なの…よ」


「俺様のモノになれ」




肩で息をする私を見おろし、跡部がニヤリと笑う。

その人を見下した笑い方も、私を射抜く青い瞳も、二年間全く変わってないのね。




「誰が、アンタのに、っ…なんか」

「相変わらず素直じゃねえな」

「…アンタは…っ、相変わらず、ムカつくわね」


「言ってろ」




顎を掴まれ、ぐ、と大嫌いな青が近づく。その中に浮かぶ自分を見たくなくて固く目を閉じると、跡部がふっと鼻で笑った。


それが頭にきて「しねばか」と罵声を浴びせてやれば返ってきたのは「すきだぜ」の四文字。



全然答えになってないじゃない。ああもう、本当にムカつく。跡部なんて豆腐の角に頭をぶつけてしんでしまえばいいんだ。









嫌い嫌い嫌い

(抵抗しない私も)(強引なアンタも)(ぜんぶ、全部ぜんぶぜんぶ)





お題拝借:joy様
04/30.銀七

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