少年陰陽師(普通)
□黄色の紡ぐ幸せ
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「昌浩っ!」
少年と物の怪の姿を見つけた少女が心持ち早足になり、その目の前にたどり着く。
「どうしたの、彰子?」
呼び止められた少年が不思議そうに小首を傾げると、少女は黄色い花束と赤い実のついた枝を差し出した。
「これを昌浩に」
「………南天と、福寿草…?」
渡した植物を言い当てられた少女は、優しく微笑んだ。
「ええ。南天と福寿草を一緒に置いておくと『難を転じて福と為す』らしいわ。それに、福寿草は『幸福と長寿』の花なのですって」
「あー、だから正月にも飾られてるのか…」
少年が納得した風情で呑気に言うと、物の怪が『折角の雰囲気が…』と小さく呟いて額に前足を当てた。
「じゃあ、お返しに……」
今度は少女が小首を傾げて見守る中、少年はパキリと小気味良い音を立てて貰ったばかりの南天の枝を手折る。そして、その小枝を少女に返した。
「南天には厄除けの力があるから、それと…」
言ってから更に黄色い花束の中の一本を適当な長さに折る。
「彰子、ちょっと屈んで」
そう言われて素直に少し身を低くしたその頭についていた櫛の端、花の茎を差し込んだ。
「うん、似合ってる」
「あ、ありがとう…」
誉められた少女の頬が、そろそろ咲く梅のようにほんのり色付く。いつの間にか二人の足元から白い姿は消えていた。
「これで俺達は一緒に幸せに長生きできるね」
「ええ、きっとね」
そう言って二人はその花のように明るく、幸せそうに笑いあっていた。
-END-
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バレンタイン的な………全然バレンタインじゃない。
ほら、外国では男の人が女の人に花を贈るし、日本では女の人が男の人にチョコ贈るから………MIX、みたいな…??……………うん、言い訳って虚しい!
票を入れて下さった方、読んで下さった方、ありがとうございましたー<(_ _)>
2010/02/14