オリジナル小説

□白亜-はくあ-
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その部屋には何も無かった。

存在するのは、白い、壁。

白い、白い、真っ白な壁と、申し訳程度に付けられた小さな窓。

窓の外は時折、雪が舞っていた。

その白くて小さな薄氷【うすらひ】の欠片は、何も残さずに、溶けて消えてゆく。

人はそれを『沫雪【あわゆき】』と呼ぶ。

何も残さずに、ただ消えてゆくだけの、小さな、冷たい欠片…。





【白亜。〜はくあ。〜】


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