オリジナル小説

□パンゲア 〜永遠(とわ)の鍵〜
3ページ/12ページ




「お待ち下さい、シルル姫様ああぁぁっ!!」

「イヤァーよ!誰が待つもんですかっ!!」

よく手入れの行き届いた、大理石の壮大な廊下を颯爽と横切る人影がある。
人影に続いて現れた者達は皆、息が切れているというのに、人影は踊る様に走り去って行った。

人影を見失った先頭の初老の男が息も絶え絶え、苦しそうに表情(かお)を歪め足を止めた。

「シ、シルル姫、様あぁ〜………また…逃げられ、ましたな…」





「…ふぅ…ここまでくれば、大丈夫かな…」

人影は息をついて足を止めた。
透き通るような琥珀色のちょっと癖のある髪に、白雪を想わせる肌。
紅く燃える紅玉(ルビー)を填めこんだかのような大きい瞳は、悪戯っぽく輝いている。
今は琥珀色の髪はポニーテールにしてリボンで簡素に括ってあり、服装は胸元に三ツ星のワンポイントのある白い半袖Tシャツと、両側に大きなポケットがついた短パンという格好。
だが、普段はひらひらした良質の生地のドレスに宝石をふんだんに散りばめたティアラだのイアリングだのを身につけたりと、今の格好と比べたらかなり豪華だ。
普通の十四歳の少女がするような格好ではない。
それもその筈。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ