黒き死神

□プロローグ
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ACの放った攻撃がエネルギー防御帯を破壊。
『彼女』はその無防備な姿をさらす。

最後の力を振り絞りゲートを解放。
『彼女』は静かに目を閉じ、最後の瞬間を待った。

一筋の光が天より雲を貫き大地を照らす。

解放されたゲートから降り注ぐ光を受け、ACは『彼女』へと迫った。

衝撃。

最後の一撃が中枢を破壊し、『彼女』は役目を終える。

「ありがとう…レイヴンこれで…………」
崩れゆく体と意識の中、最後に浮かんだのは愛娘の姿。
あの娘を追放したのは、全てこの時のため。

あの娘なら、安心して自分の後を任せられる。
そのために、『長男』とは違うカタチで生み出したのだから。

あくまで使命に忠実な『長男』はどうするだろうか?
ちゃんと『長女』達と仲良くやっていくだろうか?

天空に一条輝く洸天――太陽。
地下世界――レイヤードには決して存在しなかった輝き。

いや、もう心配はいらない。

「我が娘よ……後は……貴女……が……」

あの子達も、そして『人類』も、もう自分の揺りかごから巣立ったのだから……。

世界が地上への未知で溢れていた時代。
管理者の手を離れた人類は歩み出す。
地上へのゲートが開き、そこに見えるは晴天。
荒廃から長き時を経て蘇った、母なる大地。
辺境の空を鳥の群れが飛ぶ。
未開の森林を獣達が闊歩する。
地下世界から、遂に人類は羽ばたく。

「頼みましたよ……」
数百年の間、人類を守り、育み、繁栄させてきた『母』は、今その役目を終えた。

「アンジェリカス……」
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