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□sacrifice
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貴方と初めて出会ったのは

とてもとても幼い頃

sacrifice
第6話 密猟区


そう、あの頃は 毎日 父さんの研究のお手伝い。母さんが居なかったケド毎日が幸せだった。
寝る前には必ず ご本 を読んでもらって、ぐっすり眠る。
夜な夜な最後に聞こえるのは。

おやすみ。“experiment”


その言葉は 眠りへの扉。
クタクタになった私は、夜の扉を開く。

毎日が幸せだった。だけど、幸せはある日突然、狂いだす。
目が覚めて、いつもと違うソレに違和感を覚えた。

「父さん……どこ?」

家中を探す。台所、お手洗い、2階、地下室、書斎、そして。

「リビング…?」

そっと冷たいドアに触れると鈍い音を立てて開いた。見えたのは、大きく開いた窓と、ヒラヒラ舞う紙。
紙を掴みそれを見る。明らかに父の字、いつも見る字。

「買い物に行くから、留守を頼んだ」

音読して、読みあげると家のリビングにある一番大きな窓ガラスが砕けて、見知らぬ人ばかりが、銃を持ち此方を伺う……。
鈍い衝撃が襲いかかり、薄れ行く意識の中で聞いたのは。

「博士と実験体はどうした」

だった
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