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□贈り物
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「姉さん」
「あら、炎山」
どうしたの?と彼女は困った様に笑う。
+くままめ+ まめの育成観察日記様に
暑中見舞い炎山夢 『箱入り姉』
場所は会社のIPCの副社長室、勿論炎山の部屋であるここに自分の姉がいるのだろうか
炎山に姉と呼ばれる女の手には箱。大きな段ボール箱。箱の中に片足を入れて、今、正に入ろうとするところを炎山が間のあたりにした。
「どうしたの?」
「どうしたも、こうしたも」
――――――その箱は一体?
質問は 口に出ることも無く 答えられた。
「この箱ね、炎山の所の社員さんに貰ったの。」
その微笑みが、脳天気さを表している。「よいしょ」と言いながら箱の中に立つ、その行動はまるで……。
「犬……みたいだな」
「なにか言った?炎山」
「なんでもない」
変な炎山ね…と呟くと段ボールの蓋を手に取り、その中に収まろうとする。
「姉さん!!」
「どうしたの炎山」
「何を……」
「『箱入り娘』の疑似体験…かな。」
戸惑うように、そういうと炎山は溜め息をついた。
確かに文字通りの『箱入り娘』だが、意味が180゜違う事になる。
「『箱入り娘』とは、姉さんみたいなのを。」
「箱に入ったお嬢さんを指し示めす言葉じゃないの?」
違う……。
「とりあえず1日過ごす予定だから」
と言うと彼女は箱の中に、蝸牛が我が家である貝に帰るように、入った……。
「炎山が近くにいたら安心するだけ、だから気にしないでよ」
普通は気にする所だが。こうなった姉はどうする事も出来ないのは炎山も知っているので、何もしないのである。
彼女が箱から出てくるのは数秒後。
→あとがき