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□白雪-Siroyuki-
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人波を縫うように、ライカが走る。
人だかりを野山に例えると、ウサギ。
目立つ色をするライカは人波に流される事なく抜け、噴水のある公園に到着し、キョロキョロと辺りを見渡す。
背の高い男――バレルが、噴水の縁で此方を見ている。
Desperate Defeat Dogの犬神様に
「白雪-Siroyuki-」
「遅れてすズキューン」
ライカの隣を鉛玉をかすめる。あと数cmずれていたら顔面に当たっていただろう。
「遅い。」
「だから、すいません。」
「すいませんじゃない。」
ムスっとふてくされた様に、膨れる。
この人は俺より大人のくせに、子どものような独占欲ばかりが見える。ライカはふと、ソレを考えたが、心の底に押し込めた。
「行くか。」
「そうですね」
腕を絡め、二人は白い雪に足跡を附けながら歩き出した。