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□Non titol
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燃次が猫をひろった。
Non titol★
画面の向こうでゴロゴロと喉を鳴らし、猫は燃次のゴツゴツした手に擦りつける。
「燃次。」
「ど―した、燃次郎。……飯か?」
文句も言う気になれないナパームマンは肩を落とした。
言っても聞かないのは毎度の事なのも知っている。
「燃次郎は、ナビだったな。」
豪快な笑いが、部屋に響く。机の上のPETから燃次の姿は見えなくなって、声だけがマイクに届く。
「ったく、燃次は……」
ハァ。とため息をついて、外を見ると猫が、丸くなって角の方で寝ている……らしい。
この線さえなければ、燃次に触れられるのに。
いつもある線が、今日はとても遠く隔たりを感じる。
「妬いたか燃次郎」
「ばっか、や。妬いてなんかない!!」
頬を朱に染めたナパームマンが、舌を噛みながら早口で撒くしたてる。
刹那、ニャア。
まるで、私を忘れないでよ。と主張した様に猫が鳴いた。
「あ。あ!!そうだ、魚焼きっぱなしだ。く、食うか?」
グリルから焼けた切り身を皿に盛り、差し出すとゆっくり猫は食べだした。
「今日も、い。いい天気だな。燃次郎」
「そ、そうだな。燃次」
動揺した2人のやりとりは、一日中、こんな感じだった。(おわれ)