Book4

□犬神様に捧ぐ
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「ライカ様。」
「……。」

あの人が居なくなって、貴方はまるで生きる屍のよう。

Desperate Defeat Dogの犬神様に。
お誕生日記念、サチライ悲恋。
この気持を何と喩えよう


あの人が居たときは、貴方は幸せな笑顔を振り撒いていた。だが今は、そんな笑顔すら見せてはくれない。


「ライカ様。もうすぐ夕暮れです。いくら着込んでもシャーロは寒いのですから、中に入りましょう。」


小さな背を押して、建物の中に入る。

今日も私を見てくださらない。
電脳獣の事件以来、あの人も、あの人のナビも見かけない。
思っているのは、あの人ばかり。

こんなに側にいるのに。
あの人以上に要るのに。
私を見てはくれない。


 私は シラナイ。
貴方はシッテイル。

そう考えるのが妥当。
だけど、そう考えるのが悔しくて。
悲しくて、もどかしい。

「ライカ様。明日のご予定ですが―――。」

そんな話をせども、貴方は簡素な言葉を繕うばかり。
貴方の首元に付けられた緋も、日に日に色褪せて、もう見えやしない。

それが少し、嬉しくて。
だけど滑稽な程悲しい。

「20:00に予定は全て終了します。それで宜しいでしょうか。」

返ってくるのは、予想通り。
貴方は私を見てはくれない。



この気持を何と喩えよう。
綺麗に笑う貴方は何処に行ってしまったのでしょうか。

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