24hours of Vampire

□STORY2―運命の中へ
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「小娘、立て。」妙な訛りを持った英語。タイスは真っ赤な目をその人物に向けた。目の前には、白装束の人間が立っていた。体つきや声からすると男だろう。タイスの目は挑戦的だった。「あんたら何者なんだ。」タイスの声は小さかった。「早く立て。そうしないとその老人のようにむごい死に方をするぞ。」タイスは体が震えるのを自分で感じた。恐怖じゃない。タイスの息が荒くなる。「おまえらが・・・じいちゃんを・・・おばさんを・・・」男の表情は変わらなかった(見えるのは目だけだが)。冷ややかで無関心。第三者の目。「早く立て。そうすれば一瞬であの世へ行ける。」男の声はさっきより強かった。いらだっているようだ。「タイス、逃げて・・・。」おばさんの声が途切れる。気絶したようだ。タイスは男をにらみつけた。今まで感じたことのない怒り。深く重く渦巻いている。「あんたら、何者なんだよ。どうしてじいちゃんを・・・!!」男は強く言った。「早く立・・・」「質問に答えろ!!」タイスの声は教会に響いた。タイスの肩は怒りであがっていた。男は仲間を見た。あまりにも恐怖しない相手が予想外だったようだ。男の仲間の一人がうなずいた。男はタイスに向き直る。その声は冷静だった。「・・・我々は神の使途。世界を浄せんがためにこの身に生を受けた。この老人は神に仕える者でありながら、我々の命令を無視し、あれをかばった。」男は仲間のほうを見た。仲間はタイスに見えるようにさっと動く。タイスの目にさきほどの青年が映った。黒髪の青年はぐったりとうつぶせになっている。男が再びタイスを見た。「神に背いた者、当然の報いなり。」タイスはじっと祖父であったモノを見つめた。そして、ふりむいておばさんを見る。男は言った。「さぁ、小娘。おとなしく我々の言うことを聞け。我々の言葉は神の言葉なり。聞けば、それなりの報いとして、神に会い、願いを聞き入れられ、偉大なる神により復活が約束されるだろう。」タイスの首に冷たいものが突きつけられる。男は短剣をにぎっていた。
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