24hours of Vampire

□STORY0―呼び起こされる痛み
1ページ/2ページ

24hours of Vampire 〜by『REQUIEM』〜

「よっしゃ、任務完了―!」
 タイス・ヴォルテンは思いっきりのびをして、首をならす。周りはたくさんの“アクマ”の死体で血の海と化している。
 「ちょっと何やってんの?あいつに連絡いれて帰るわよ。」高い銃声とともに最後のアクマが倒れた。黒い髪の日本人の青年がこちらを見る。その瞳も髪と同じくらい黒い。
 「終わった?」タイスは陽気に聞いた。青年も慣れたてつきで銃をしまい、日本刀をさやにおさめた。そして、血の海に動揺することなく、こちらへやってくる。青年はタイスを見るなり、うんざりとした表情を見せた。「またアクマの血を飲んだの?体によくないよ。」タイスは肩をすくめた。「飲まないと死ぬんだから仕方ないじゃん。人間のを飲むわけにはいかんでしょ。」青年は渋い顔をやめない。「大丈夫。ちゃんと飲み分けてっから。」青年はひとつため息を吐き、タイスはコンクリートの瓦礫の上に座った。
 時は2053年。世界は史上最悪の事態といわれる第三次世界大戦に陥っている。大戦が始まり、もう3年。いや、もう何年も前から始まっていたのかも。五十年弱前に始まったイラク戦争が終結を迎えようとしていたとき、第三次世界大戦は勃発した。死者は日に何万。弱い国はどんどんと他の国に制圧されている。実際何個かの国が姿を消した。地上は荒廃し、確実に人類は絶滅へのカウントダウンをきっている。本当なら戦争は終わっているはずだった。アメリカが勝者となる形で。
 「それにしても。」青年は周りを見回した。「ひどいありさまだね。」タイスも周りを見回す。ここはキリスト教の有名な大聖堂だった。だが、今は戦争。数々の遺産が跡形もなく壊されていく。タイスは瓦礫の中に奥へ行く通路を見つけ、瓦礫から飛び降りた。そして、奥へと歩いていき、青年もそのあとに続く。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ