24hours of Vampire

□STORY1―日常
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STORY1 
―2047年6月28日 アメリカ A.M.7:30―
 
 「行ってきまーす。」タイスはだるそうに手にカバンを持つと、玄関のドアを開けながら、祖父に言った。
白髪の祖父は教会の神父であり、身支度を整えている。年の割には背が高く、しっかり動き、自分のことは何でもできるという健康体。
「タイス。」言い聞かせるような声。タイスは嫌な予感がしながらも立ち止まる。「・・・はーい。何?」あからさまに嫌そうな返事。何しろいつものことなのだ。「また朝ごはんを残しているぞ。」タイスはひとつため息をはいた。「だから時間がない・・・」「それに」タイスの言い訳はお見通しだったようだ。何しろいつものことだから。「また嫌いなものばかり残して、それじゃあ、体に悪いぞ。それからその格好。」タイスは自分の服をひととおり見てみる。夏の暑さが近づいてきたので腹の見えるTシャツにホットパンツにブーツ。確かに16歳の女の子ならもう少しおしゃれをしてもいいと思える。それにタイスは、顔立ちは別に悪くない。金髪に切れ長の青い目、すっとした鼻。悪くないのだ。ただ中身がずいぶんと男らしく育ってしまったようだ。さばさばした性格なのに自分の信条は譲らない頑固者。行動派でありながら面倒くさがりで短気。周りから女の子なんだからと言われるが、タイスにはそんなことは関係ない。髪はボブに限る。スカートなんて邪魔くさくてはいてられない。細かいことにこだわるな。後からグチグチ言うな。言いたいことがあるなら目の前で言え。弱いものいじめをするな・・・などがタイスの信条。そのせいで敵は多い、が、仲間も多い。何事においても動きやすく、シンプルに、こだわらない。それをタイスなりに追求し、今の彼女にいたるわけなのだ。しかし今は格好の話。祖父は露出が多いと言いたいのだろう。「女の子なんだから気をつけなさい。」
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