24hours of Vampire

□STORY2―運命の中へ
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STORY2
―P.M.18:00―
 タイスは最初何がなんだかわからなかった。教会の入り口からは丸い花の模様のようなステンドグラスと木造の十字架がいつものように見える。ただ違うのはその前に白い服を着た数人の人間がいることだった。彼らは頭からつま先まで白い衣装で身を包み、口元も白い布で覆っている。そして、鋭い目がこちらを見ていた。タイスはお祈りに来た変わった集団かと思った。しかし、なんだか雰囲気がおかしい。季節はまだ夏に入る前。なのに、凍りついたような冷たい空気が辺りを支配している。タイスはいつもと違う雰囲気に息をするのをしばし忘れていた。タイスは自分をみつめる白装束の集団から目を離すことができなかった。苦しくなり、ぐっと自分の胸倉をつかむ。冷や汗が頬をつたった。
ふと通路に倒れている人が目に入る。白髪に赤い毛織物を羽織った年配の女性。「おばさん!」タイスは驚き、かけよった。その女性はこの時間帯によくお祈りに来る近所のおばさんだ。タイスや祖父と親しくしてくれていた。「おばさん!!」タイスは動揺していた。おばさんは健康で、病気なんか持っていない。なのに、なぜ、倒れている?タイスはおばさんを仰向けにした。おばさんの顔は青くなり、目はかたく閉じられている。タイスは口元に耳を近づけた。かすかに息をする声が聞こえる。生きてる・・・!タイスは立ち上がった。「じいちゃん!おばさんが・・・!」
白装束の集団が動いた。十字架のほうに近づく。そして、集団のあとに残されたのは何かの塊だろうか。真っ赤な塊だ。
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