24hours of Vampire

□STORY3―許さない
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「んなもん、いらねぇよ。」


 タイスの声が静かに響いた。男は短剣を振り上げたまま、動きを止めた。「何?」
 タイスは振り向き、言い放った。「悪いけど、あたし、神様なんて信じてないから。」その目には迷いも恐怖もない。タイスの言葉には信念だけがこめられていた。
 短剣が震える。男の目は怒りに燃えていた。後ろで男の仲間たちもざわつく。
 タイスは彼らを一人ずつにらみつけ、冷ややかに言った。「何が安らかなる死だ、神様に会えるだ。そんなものあたしには必要ない。」
 男は静かに言った。「貴様、悪魔か・・・」タイスは笑った。「何とでも言えば?どうせあんたらそうやってじいちゃんも殺したんだろ?あんたたちに言わせりゃ自分の言うことを聞かないやつらはみんな悪魔になるんだろ?」
タイスはゆっくりと祭壇に上る。そして白装束の集団の側を通りすぎると、木造の十字架を見つめた。十字架にはキリストが張り付けられている。
 そして、タイスは怒りを抑えつつ、大声で言った。
 「神様よぉ、そこにいるなら、全部見てるなら・・・何でこいつらに罰をくださない?じいちゃんやおばさんがあんたに何したんだよ?毎日毎日毎日・・・じいちゃんは祈ってた。おばさんも祈ってた。じいちゃんとおばさんが何したって言うんだよ!!」
 タイスの声は強く響いた。おさえきれない怒りがあふれ出す。

―神なんてこの世にはいない。―

「ふざけんな!!言うこと聞かなかったら、殺すのか?自分たちの思い通りにいかなかったら殺すのか?正しくないって?悪魔だって?あんたはこいつらにそう言ったのか?
 だったら、あんたは愚かだ!あんたは正しくなんかない!あんたは人間なんかクソだと思ってるかもしれない。でも、今、あんたがやってることは、そのクソみたいな人間と何一つ変わりやしない! もし、こいつらのやってることが正しいというなら、あたしはあんたを許さない。たとえ、悪魔に食われようが、地獄に連れてかれようがかまわない。

あたしは絶対にあんたを許さない!!」
 
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