24hours of Vampire

□STORY6―迷い道
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―A.M.5:36―

 まだ暗い空の下、タイスとルーディンは向かい合って座り、トラックの荷台でゆられていた。結局一晩中、大きな道路に出るために歩き続けていたタイスはひざをかかえ、こくりこくりとしている。ルーディンはその姿があまりにも似合わなかったので思わず笑ってしまった。その笑い声にタイスがきっと彼をにらむ。ルーディンは笑いをこらえながら謝った。
 「寝てていいよ。」「今ので目覚めたっつーの。」タイスは不機嫌そうに言った。一晩中歩き続け、朝方やっとヒッチハイクに成功した。しかも、ニューヨーク行き。ルーディンが言うには、明るいうちは敵も行動しにくいらしい。というわけで、夜が来る前に探し人をみつけてしまおうとしていた。この分だとあと6時間ほどでニューヨークには着けるはずだ。
 しばらくすると、ようやく東の空が明るくなり始めた。見渡す限りの荒野。まだ地平線まで見える。そこから昇ろうとする太陽の姿はなかなか感動的だった。2人は黙ってその姿に見入った。ルーディンがぽつりとつぶやいた。「アメリカは広いな。」タイスはうなずいた。だからこそニューヨークへの道のりも遠いんだけど。







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