小説

□愛なんて
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愛なんて言葉は嫌いだ。

そんな感情に流されても、楽しいのなんて一瞬でその一瞬が過ぎたら、まるで何事もなかったかのように終わりが来てしまう。
そのあとに残るのは思い出なんかじゃない。
ただの虚無感。
だから俺は愛なんて欲しない。

なのにあいつは平気で愛していると口にする。
しかも来るなと言ったそばから会いたいなんて言ってドアの前に立ってたりする。
そういう図々しさを持っているくせに人の気持ちには敏感で、気付けば慰められていたりする。

俺は俺で安穏とした生活を送ってきたはずなのに、奴が土足で俺の心に踏み入ってから変わってしまった。
でも俺は分かってる。
いつか奴は俺から離れていく。
所詮永遠なんて存在しない。
だから傷付かないよう、ダメージが最小限で済むようにかわしていく。
俺は狡い男だから。














愛してるなんて絶対に口にしない。

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