S.S(FF6)
□ずっと言えなかったこと
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オトナになったら言おうと決めていたけど、
ずっと言えなかったこと。
僕たちは、生まれた時からずっと一緒だった
と聞かされていたが、僕はこの事を父に言われて違和感があった。
そしたら、僕と同じに見えるけど、ちょっと小さくて…それから、随分と素直な弟が言った。
『お父さま、それなんか変だね』
父親はそうかねと笑っていたが、弟はふいに力を込めて僕に言った。
『生まれる前からずっと一緒だよね?』
と、
僕とは違う、きらきらひかる笑顔をこちらに向けて。
『それで、これからもずっと一緒なんだよね?』
あぁ、僕は弟がいなくなった時、この時返事した言葉のせいじゃないかと思って、何度もこの言葉を後悔した。
『そういう訳にもいかないよ』
そうだねと父親は、僕たちを見ずに、どこか遠いところをみて、それから、少し悲しそうな顔をしていた。
弟はそれってイヤだな〜と不機嫌そうな顔で言っていた。
この時の僕といえば、祈りにも似た願いのような気持ちで。
ずっと一緒にいられますように。