longStory

□慟哭番外編〜地の果てまでも〜
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胸を押し返して抱擁から逃れる。

あっさりと時人を解放したその同級生に視線を向けずに一気に階段を駆け降りる。

ガクガクと震える膝を必死に動かしてブルブルと震える手を鎖骨の辺りで握り締めて。

下まで一気に降りて手すりに手を掛けて遠心力で曲がろうとした。

「時人さん。」


思わず見上げて、息を呑む。

壁の上に造られた明かりとりのせいで逆光になり同級生の顔は見えない。


「……また、後で。」


見えない、筈なのに。


「――!!」



また一気に階段を駆け降りる。

階段を駆け降りながら何も考えない様にした。

逆光だった

見えない筈だった

なのに


(…そんな、訳あるか !)


紅く濡れた口唇が吊り上がるのが

嬉しそうに細める瞳が
隠そうともしない執着が

はっきりと時人には見えてしまった……。







続く
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