longStory

□慟哭 4
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太陽はその姿を連なる山々に沈め、月が大地を漆黒の闇へと誘い出す。
辺りを朱と黒を混ぜ合わせた色に染めていく風が凪の様に足を止まらせた。







「探しましたよ、時人。」

朱と黒の狭間で澱む風は行き着く場所を求めて焦がれている。


「まぁ、大体分かってましたけどね。」

澱んだ風はいつしか荒ぶる嵐にその身を変えて行き場のない風で更に己自身を煽り立てる。

「ゆやさん、ご迷惑を掛けました。」

自らを傷つける嵐は出口を見付けて怒涛の勢いで其処に向かった。
「……来なさい、時人。」

嵐が出口を抉じ開け様とした瞬間、其れは嵐の風を遮った。









「おいおい、俺様に挨拶は無しかぁ?………アキラよぉ。」


そののんびりした口調とは対称的に剛腕はアキラの腕をしっかり掴んでいた。
アキラは掴まれた腕を振り払うでも無くゆっくりと剛腕の持ち主を見やった。

「すみませんね、先程ご挨拶しようかと思ったんですが、あなたが店の中にいたのでね、遠慮したんですよ。ゆやさんも嫌でしょう、店を壊されるのは。」

その時初めてゆやは現状を認識した。
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