longStory

□慟哭 5
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パチパチと薪が燃える音がする。

音は確かに耳元で聞こえるのに身体は芯から冷えていた。

ここは寒くて暗い。

薪のすぐ近くにいる筈なのに身体はガタガタ震えて歯と歯はカチカチと音をたてている。

何故こんなに寒いのだろう。

こんなに薪の近くにいるのに。

時人は薪の近くに移動した。


けれど益々身体は冷えていく。
まるで薪に近付く程冷気が時人を包む様だ。

時人が寒さで震える肩を自分の腕で抱いた時、目の前の薪の炎がゆらりと歪んだ。


「寒いのでは無く怖いのでしょう?」


薪はゆらゆら揺れながら次第に大きくなっていく。

炎のうねりの中から時人をじっと覗いているそれは蒼白い炎を立ち上がらせながらぬるりと腕を伸ばした。










――この、却火が――――














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