longStory

□慟哭番外編〜地の果てまでも〜
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奪え






壊せ









灼熱の炎で焼き尽くせ







嘆け








恨め










出逢ってしまった運命(さだめ)を呪え





慟哭 番外編
‐地の果てまでも‐



「……ッ!!!」
ガバリと蒲団を押し退けて飛び起きる。

荒い息を吐きながら暗闇の中、一点を見詰めて息を整える。


(………なんだ?今の、夢は……)
まだ混乱する頭で先程の夢を思い出す。

暗い暗い闇の中
独りぼっちで立ち竦む自分
足の裏は泥濘を踏んでいるかの様に重い。
いくら目を凝らしてもまるで色など最初から存在しない様な漆黒の闇。
耳鳴りする程の 静寂。

暫く立ち尽くしていると遥か彼方にぼんやりと蒼白い光源が見えた。
近付いて行こうと足を動かそうとした時、あの言葉が響いた。

(……奪え?壊せ?……一体……?)

頭の先から足の爪先まで電流が走った様に身体がビクリと震えた。
近付いてはいけない。
何故か、そう思った。
(…参ったな…。)

まだ夜明けまでには時間がありそうだ。
しかしとても眠れそうにはない。
普段なら適当に朝まで時間を潰すだろうが今日はそうもいかなかった。

(…明日は多分…)

転校生が来る。
学級委員の自分がおそらく世話を押し付けられる。
寝不足の上に知らない他人の世話だ。
今から気が滅入る。
しかし断る事は出来ない。
親がいない、奨学金を貰い、通学する自分は大学に進む為には何より内申点が重要だ。
頭を枕に再び預けて目を閉じる。

その夢が、暗く冷たい物語の序章などとはそれこそ夢にも思わず、アキラは眠りについた。
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