longStory

□慟哭番外編〜地の果てまでも〜
1ページ/2ページ

深い深い常闇の深淵から覗く蒼い焔。

うねる焔の中から更に熱を帯びた碧眼はじっと息を潜めて待っていた。

燻り続けた焔は尽きる事無く今また燃え上がろうとしている。



今度こそ、完全に、その全てを燃やし尽くすまで―――。









午前の授業が終わるチャイムが響く。

皆それぞれ席を立ち、昼食を取り始める。

「……ふぅ。」

時人は重い頭をもてあます様に額に手を当てた。

「どうしたの?時人ちゃん、顔色悪いよ?」
目の前で弁当の包みを開こうとしたゆやは心配そうに覗き込んだ。
「ん…、ちょっと寝不足なんだ…。」

昨夜はあの奇怪な夢を見た後、なかなか寝付かれず、そのまま結局朝を迎えてしまった。
身体は気怠く、頭は鈍く痛みを訴えている。
「頭痛いの?保健室行って休憩の間だけでも休んで来たら?」

「…そうしようかな。」

小さく呟いてゆっくり席を立った。

「場所わかる?」

「ああ、うん。わかるよ。ありがと。」

付いて行くというゆやの申し出を辞退して教室を後にする。

ふらふらする脚をなんとか動かして廊下を進む。
校内は昼休憩らしく学食に走る生徒や教師でざわついている。

人に当たらない様に廊下の端をゆっくり進んでいると急に背中にゾクリと何かが駆け上がった。

「!!」

ブルリと身震いする。

同時に視線を感じた。

咄嗟に辺りを見回してふと気付く。


妙な既視感。


浮かび上がる あの 焔。

絡み付くような既視感を振り切る様に廊下を走る。


肩に当たる人も気にも掛けず廊下を走り抜けて曲がる。

すると今まで感じていた既視感が突然消えた。

「ハァッ…ハッ……」壁に寄りかかり暴れる息を静める。

(……なんなんだよ、一体……)

全身には厭な汗が流れている。


思考が追い付かない。

昨日の奇妙な夢。

粘つく視線。

冷たい既視感。

目の前を通りすぎる生徒達をしばらくただ茫然と見詰めていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ