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□慟哭番外編〜地の果てまでも〜
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幾重にも絡まった導火線。
しかし蒼い焔はゆっくりとしかし確実に導火線を辿って行く。
運命も生死も、時をも越えて。
追い続けるのだ。
地の果てまでも…。
ボクを見下ろす同級生は僅かに口角を上げた。
一段一段階段をゆっくりと降りて来る。
ボクはそれを呆然と眺めていた。
ニ ゲ ロ
頭の中で響く。
警鐘が鳴り響く。
けたたましいサイレンが鳴る代わりにボクの心臓は猛烈な勢いで暴れる。
それと共に霞む視界。
鋭敏になる五感。
足音が、匂いが、温度が。
縋り付きたくなる程の激昂がボクを襲う。
(……怖いッ……怖いよッ……!)
相反する叫びが恐怖を誘う。
眼を固く閉じて両手で自分を抱いた。
ボクの目の前でボクを見下ろす同級生。
どれくらいそのまま硬直していただろうか。
突然休憩の終わりを告げる鐘が鳴り響いた。
はッと思わず閉じていた瞳を上げる。
目の前にいる同級生と視線が、交差した。
視線が合った時、その同級生は酷く曖昧な表情(かお)をした。
笑っているのか、でも泣いている様な。
けれど確かにその表情でボクの警戒心は僅かに和らいだ。
けれど、その瞬間
「……時人……」
低く、昏い、声。
ゾクリと背中を這い上がる何かが。
ボクに警鐘を再び鳴らす。
「…よ、呼び捨てにするな…ッ…」
辛うじて残った自尊心で言い放った言葉は震えていた。
同級生はボクが言った言葉に益々笑みを深める様に目を細めた。
「じゃあ」
ボクの肩を両手で掴んで呆然とするボクの鼻先まで顔を近付けて。
「時人さん。」
今にも口唇が触れあいそうな距離で囁く。
目が反らせない。
ボクの目を食い入る様に覗き込みながら。
「貴女、綺麗ですねぇ。」
目と鼻の先でそう言った。
肩を掴んでいた指が食い込む。
骨の軋む音が聴こえた気がした。
ゆっくり、ゆっくりと抱擁を深めてくる。
笑みを益々深めて、その表情はむしろ無邪気だ。
その瞳に燻る熱を除けば――……。
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