longStory

□慟哭 2
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「………?」
「時人さん?わかりますか?」
時人はまだ重い瞼を開けて声のする方へ瞳だけ動かした。
そこには心配そうな顔のゆやが時人の枕元に座っていた。

「…………ゆや…」
「よかった!目を覚ましてくれて。皆を呼んできますね!」
心配してたんですよと言いながら立ち上がろうとするゆやに時人が血の気の引いた顔で叫んだ。
「――待て!…皆って………まさか、ア…アキラも……」
「あっ………アキラさんは……。」
そう言って眉を下げるゆやを見て時人がほっと安堵の表情を見せた。
「……?」
ゆやが首を傾げていると灯が部屋へ入って来た。
「目が覚めたかい、時人。」
「…………まあね。お前がボクの体を治してくれたの?」
「……あぁ、そうだよ。」

灯が低い声で言った。
「………そっか。じゃあ、鬼眼を呼んでよ。」
「狂を?」
「あっ私呼んできます!」
ゆやがパタパタと駆けていった。
灯は時人の枕元へ座りながら尋ねた。

「……何が、あったんだい?………アキラと。」

「………………。」

時人はただぼんやりと天井を見ている。
しかし時人の身体が微かに震えているのを見た灯はそれ以上口を開かなかった。




―――――――………
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