longStory
□慟哭 4
2ページ/5ページ
「……あ、あれ……?」
アキラと時人の間に立っていた筈の自分が壁に張り付く様に立ち竦んでいる。
アキラの異様な気配に無意識に後退っていた。
(……梵天丸さんが居なかったら………)
ゆやが眉毛を下げて落ち込んでいると、梵天丸の声が聞こえた。
「ゆやちゃん、悪いが庭を借りるぜ。コイツと話しなきゃなんねぇからな。」
そう言いながらアキラを睨むと梵天丸は腕を掴む腕に更に力を込めた。
「生憎ですがケモノと話をする趣味は有りませんよ。私は時人を迎えに来ただけですからすぐ失礼します。」
「!?」
アキラはもう片方の腕でアキラの腕を掴んでいる梵天丸の手首を掴んで力を込める。そのまま一気に鈍く何かが軋む音と共にアキラが梵天丸の手首を捻り上げた。
「ぐああぁぁッ!!!」
「梵天丸さんッ!?」
ゆやが梵天丸に駆け寄ろうとした時、梵天丸が叫んだ。
「逃げろッ!早く時人を連れて行けッ!!!」
ゆやはハッとして立ち止まった。
「……でもッ!」
「そうはさせませんよ。」
アキラは梵天丸の手首を掴んだまま、刀を抜いた。