longStory
□慟哭 6
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「動かないで下さいね。私としても無益な争いは避けたいですから。」
アキラは静かにしかし冷たい声でサスケに言った。
「………お前がここにいるってことは……」
サスケは微動だにせず口唇だけを動かした。
アキラは無表情のままその問いに答えた。
「私が殺しました。」
「――!!!ッお前………!!」
サスケが激昂を露にし、アキラに振り向こうとした時、アキラの刀の切っ先がサスケの顎へと移動した。
「……動かないで下さいと言ったでしょう。」
「くっ………!」
アキラは刀はそのままで視線を時人に向ける。
時人は疲れきっていたのか起きる気配がない。
ゆやも同様だ。
アキラは時人を暫く見詰めていた。
その仕草は慈愛に満ちていて、サスケは違和感を感じた。
アキラの纏う気が僅かに緩んだ。
その瞬間、サスケは時人の側へ飛び移った。
薪を挟んでアキラと真正面から対峙した瞬間サスケは目を見開いた。
薪の炎の影に揺れるアキラがまるで自身の気に飲み込まれ焼き爛れて見えた。
サスケが呆然とアキラを見ているとアキラが静かに口を開いた。
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