小 説

□初めての一歩
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−−−次の日。





学校が休みだったので、

家の中でごろごろしていた藤崎は、

買い物にでも出掛けようかなと思い付いた。



家の近くにデパートとやらいろんな

店があったので、そこに行ってみることにした。



最新のゲームとか、服とか、

興味あるものにだけブラブラしてたが、

あまり欲しいものは見つからず、

なんか洋菓子でも買おうかな〜と

藤崎は周りを見回す。



すると、本屋が近くにあったのを発見し


「あ!そういえば欲しい漫画とか

 あったけ。試しに行ってみよう」



ウィーン・・・





自動ドアが開くと同時に店内に入り、

漫画コーナーのところで欲しい本が

ないか探し始める。



「お!コレだコレ!

 ジャンプ新しいの出てんじゃん!」



少年誌ジャンプは、藤崎の愛読書だ。

新しいのが発売されていたのをすっかり

忘れていたようで、直ぐさまそれを手に持つ。


早速レジまで持って行き、会計を

済まそうとした。


お金を渡し終え、店員が袋の中に

詰めている間、ふと周りをキョロキョロ

見回してみた。






・・・すると、漫画コーナーと少し離れた

場所に、見覚えのある姿が視界に入った。



雑誌を手に持って、パラパラめくりながら

読んでいる人間が一人。



前髪が短く切られており、ピン!と

背を伸ばしながら立っているその男性は・・・





「ーーって、つ、椿!!??」




その人物が誰か分かった瞬間、

藤崎は慌てて店員のほうを振り向いた。



本が入った紙袋を受け取り、

そぉぉ〜〜っと気づかれぬように

藤崎は、椿の真後ろにある本棚に

隠れた。



(何でこんなとこに椿がいんだよ!)




心の中ではテンパりながら、藤崎は

椿の後ろ姿をジッと見つめていた。




相変わらず雑誌をペラペラめくってる

椿は、背後から見つめてる藤崎の

存在すら気づかない。



「つうか、アイツ・・・姿勢良すぎ」



ピン!と姿勢正しくしている椿の姿に

思わず笑いが零れてしまった。

そういえば初めて椿の私服姿見たかもしれない、と

藤崎は思った。



(へぇ〜あまり目立たない格好なんだな。

 てゆか、椿って肌白い・・・)


普段、喧嘩するばかりで

あまり椿の事よく見てなかったからなぁ、

と藤崎はため息をつく。



ーーーその時、藤崎はさっき

自分が思った事に疑問を抱く。




(あれ、さっき椿の肌白いな〜とか

 考えてなかった?俺・・・)


えッ、と藤崎は声を漏らしてしまい

目の前にいた椿が一瞬こちらを振り向いた。



目と目が合い、藤崎と椿は

驚いて思わず後ずさる。



「な、なんで貴様がここにいるんだッ!?」



眉間にシワを寄せて、椿はそう言った。



「い、いや、俺はただ」

「昨日の仕返しでもしに来たのか?」


ぐっ!と拳を握りしめて椿が睨むと、

藤崎は慌てて紙袋を見せた。



「まっ漫画を買いに来ただけだ!!

 てゆか拳しまえッ!」



藤崎の様子を見て、嘘ではないと

分かった椿は拳をしまった。



「・・・そうか。」


何度も頷きながら藤崎は

安心し、胸を撫で下ろした。


意外と物分かりいいのね!と、

ひそかに藤崎はそう思った。


「・・・ん?お前買い物行ってたのか?」



今まで気づかなかったのか、椿の左腕には

ビニール袋が下げられていた。



「あぁ、母さんに頼まれて・・・」

「そっか。あ、お前この後すぐに帰るの?」

「いや、ついでに洋菓子でも買ってから

 帰ろうかなって思ってたとこだ」



椿の言葉に藤崎はう〜〜ん・・・と悩み、

しばらくすると



「そうだ!」

と、手をポン!と手の平に打つ。



「そいや俺も洋菓子買おうかなって考えてたんだ!

 ・・・良かったら、一緒に行かね??」



藤崎の発言に、椿は一瞬驚いた顔を見せたが、

まぁそれも悪くないな・・・と軽く頷いた。





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