Sexe
□Set me free
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誕生日なんて、なんの感慨もない。
俺はね。
だけど、世の中にはそれを満喫したがる輩がいる。
他人の事ならなおさら。
例えばこの男がそう。
「何が欲しい? つか何をしたい?」
「…休みが欲しい、死ぬまで眠りたい」
「おいっ」
面倒くさい。
「せっかくの誕生日がっ」
「だからさ〜、なんで翔ちゃんがそんな残念そうなわけ?」
スタジオ入りしてからずっと纏わりついてんのよ。
大概にしなさいって。
「あのひとにバレるよ?」
バッて音が聞こえるくらい勢い良く振り返って辺りを確認。
メンバーが他にいない事(あのひとだけだけど)に安心したのか、またこっちを向いて笑う。
「大丈夫だ、誰も見てない」
「……」
だから教えろと腕を掴まれ、悔しいから上目遣いで睨んでやった。
のが、逆効果?
「え? ちょ、」
ぐいぐい引きずられ、たどり着いたのはセットとケーブル類の積まれたスタジオの片隅。
「な、何する気!?」
騒ぐとバレるよ?
しゃがみ込んだ耳元で囁く声がした。
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